カフカが定型詩であれ、自由律であれ、句作に精進したことはありません。
カフカは多くの印象的な警句を残しています、
それらを自由律俳句と捉えて遊ぼうとしたのが本書です。

それは思考の遊びもしくは冒険として誠に面白いものです。
カフカは「変身」や「城」など、名作を残しながら、生前は評価されなかった人で、厭世的な言葉を多く残しています。
ありとあらゆる理由から泣いた
眠っているうちに夢を見失った
静かに生きたいのではなく、静かに滅んでいきたい
真実は肉体の苦痛だけだ
人生はただ怖ろしい
これらの句?。
40代半ばにして命を失った作家。
彼は常に死への親和性を保ち続けていました。
それは怖ろしいことであったろうと思います。
死にたい、でも死ねない、書きたい、でも売れない、人生に絶望する所以です。
はるか昔、私は大学でドイツ語の講義を取り、そのテキストはカフカの「城」でした。
「城」は、私に恐怖に近い感情を抱かせました。
今、ドイツから遠く離れた日本で、ドイツを代表するに至った作家の警句で遊ぶとは、なんと贅沢なことでしょう。
少しほろ苦いその遊びに、私も付きあってみたいと思うのです。