AKB48という少女アイドルグループの人気投票が、昨日のニュースで大々的に取り上げられていました。
それがご大層に、総選挙、なんだそうで。
なんでも新曲のCDを買うと投票券が一枚ついていて、贔屓のアイドルに投票できるのだとか。
なにがなんでも贔屓のアイドルの順位を上げたいと、一人で5000枚も同じCDを購入する猛者も現れたとか。
CDを売りたいのはわかりますが、なんだかアコギなやり方です。
CDシングルの一週間での売上が日本一を記録したそうですが、それは楽曲に対する評価ではなく、アイドル・グループに対する評価ですらありません。
自分が好むものを他人にも好んでほしいという、自我の拡大みたいなもんですかねぇ。
やくみつる氏は、リアルな世界に帰ってこい、AKB48のメンバーは良い子ばかりだけど、リアルにつきあえる相手ではないのだから、と仰っていました。
野暮ですねぇ。
そんなことはアイドルオタクだって百も承知。
百も承知で、はかない若さという時分の花に酔っているのでしょう。
酔いというのはいつかは醒めるもの。
醒めてみて初めて、過去の自分の行為が愚かだったと後悔するでしょう。
そのためにはまず、酔ってみなければなりません。
このグループがメディアで多く露出し、多くの熱狂的なファンを抱えるのは、そう長い期間ではありますまい。
それは過去のあまたのアイドルグループが売れては消えていったのと同じこと。
時代の背景や流行りが、ある種類のアイドルを求めます。
モーニング娘。だったり、おニャン子クラブだったり、キャンディーズだったり、元祖三人娘だったり、娘義太夫だったり、出雲阿国だったり、白拍子だったり、陰間だったり。
それはわが国民が二千年に渡って求め続けてきた輝く若さへの憧憬とでも言ったようなもの。
明日どうなるかわからないのですから、今日はAKB48のために小遣いをつぎ込む少年がいても、微笑んで見守ってやればよいのです。
![]() | AKB48の経済学 |
田中 秀臣 | |
朝日新聞出版 |