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文学

荒魂

石川淳の初期の長編に、「荒魂」という作品があります。 主人公佐太は、生まれた日は死んだ日だった、という紹介をされ、その破天荒な生きざまが綴られます。 化け物じみた生命力を持つ佐太は、口減らしのために生まれるとすぐにりんごの木の下に埋められてしまいますが、穴から這い出て大声で泣き叫びます。 父親はさらに頭を殴ってさらに深く埋めますが、やっぱり這い出てしまいます。 やむなく育てることにしましたが、姉二人を犯し、兄三人を召使のように使役し、父親は自分が元埋められていた場所に埋めてしまいます。 荒魂(あらみたま)は和魂(にぎみたま)と対をなす概念で、怖ろしい、荒ぶる神を表します。 佐太はこの後田舎を出て仲間を得、革命とも争乱ともつかない騒動に身を投じるのですが、果たして荒魂は佐太その人を指しているのでしょうか。 あるいは佐太の一派すべてを? この作品は石川淳お得意の現世的野心や神性に加え、現代風俗や経済問題などまで書き込み、べらぼうに面白い作品に仕上がっています。 しかし、「至福千年」や「紫苑物語」、「狂風記」に見られるような異常な緊張感とか、構成の妙に欠けるような気がします。 某文芸評論家は...
映画

こっくりさん 劇場版

昨夜はDVDで「こっくりさん 劇場版」を鑑賞しました。 こっくりさん、私が小学生の頃、流行りましたねぇ。 というか、私の学校では私が流行らせた張本人で、一時的に精神に異常をきたす子まであらわれて、教員にこっぴどく叱られました。 親には叱られませんでしたが、苦笑いしていましたねぇ。 「こっくりさん 劇場版」では、38年前に失踪した小学生の男の子が白骨化して山中で見つかる場面から始まります。 男の子はこっくりさんが大好きでした。 遺体が見つかってから、当時のクラスメイトが次々に変死を遂げていきます。 その連続変死事件で母を喪った女子高生が、霊能者の数学教師と一緒に謎解きを始め、白骨化した男の子の恨みが原因らしいと知り、これをこっくりさんで鎮めようとします。 毒をもって毒を制す作戦です。 なんとなく映像に気品がありました。 ホラーの名作、「リング」や「シャイニング」がそうであったように。 こっくりさんというのは、西洋でいうウィジャ盤にあたるもので、50音を書いた紙の中央に赤く鳥居を描き、そこに十円玉を置いて指を添え、こっくりさんを呼び出し、質問をすると十円玉が動いて文字を指し、回答してくれる...
その他

三つ子の魂

三つ子の魂百まで、とか申します。 私は物心ついた頃から、なにしろ物語が好きでした。 で、物心ついた頃から今に至るも不思議に思っていることがあります。 なぜ世の中で物語といえば、恋の話がやたらと多いのだろうか、ということです。 物語を凝縮したものと思われる和歌や流行歌にいたっては、その大半が恋を題材に取り上げています。 私は幼い頃から奇妙な話や怖い話が好きで、それは今もそうで、42年の人生の中で恋の話や恋の歌にのめりこんだことがありません。 だからといって、恋に興味がなかったわけではありません。 私にはどこか傲慢なところがあって、私が惚れるくらいの女は必ず私に惚れるものだと思い続け、それはかなりの確度で当たっています。 私が初めて同世代の女性と接吻を交わしたのは、7歳のときでした。 今思えば、汗顔の至りです。  しかしそれは、私をして恋の物語から遠ざけるに十分な、エキサイティングな経験でした。 すなわち、私が望めば恋は物語ではなく、現実として始まるのだ、ということを学んだのです。 そして7歳が10歳になり、15歳になり、さらに20歳になるうちに、他人の恋物語に全く興味が無くなり、さらには...
映画

ことりばこ

微熱も下がったので、「ことりばこ」をDVDで鑑賞しました。 小鳥の箱ではありません。 漢字で書くと、子取り箱。 最近2ちゃんねるで話題の怪談です。 大学のサークル仲間男2人と女3人の5人が、夏休みを利用して田舎のペンションに出かけます。 海も山も近い、自然の中にぽつんと一軒だけ建つ洋館です。 5人は海で遊び、夕食はペンションの庭でバーベキューをして楽しみます。 ペンションの支配人は、くれぐれも裏の神社には行かないように、と言って自室に戻ります。 マムシが出るから、と。 しかし行くなと言われれば行きたくなるのが人情。 まして若い大学生たちのこと、それは行けと言っているようなものです。 5人は深夜、肝試しと称して神社に向かいます。 なぜか神社に寄木細工で美しい装飾を施した箱が捨てられています。 それをペンションに持って帰ったことから、恐怖が始まります。 その箱こそ、子取り箱だったのです。 2ちゃんねるによれば、江戸末期、圧政と差別に苦しんだ農民が作り出した呪いの箱で、箱の中には子宮が納められており、箱を差し向けられた家では、子どもや出産可能な女性を呪い殺し、その家を絶滅させてしまう怖ろしい...
その他

体調不良

昨日から体の節々が痛み、微熱、下痢などの症状が出たため、今日は仕事を休みました。 風邪なのかインフルエンザなのかわかりませんが、インフルエンザであったとしても、予防接種を受けているのでそう悪化することはないでしょう。 じつは私の職場では次々と風邪で休む者が出ており、恥ずかしながら私も感染したものと思われます。 市販の風邪薬を飲んだせいか、体がだるーい感じです。 なんとか明日は出勤したいものです。
映画

JIGSAW デッド・ゾーン

昨夜は「JIGSAW デッド・ゾーン」を鑑賞しました。 10年前、連続幼児誘拐事件が発生。 警官、ドウェインの息子、カイルも誘拐され、その後発見されません。 いつもカイルのことが頭を離れないドウェイン。 ある時、微罪で留置場に入れられた薬剤師が、ドウェインに「娘は元気か」と話しかけます。 ドウェインは薬剤師に娘がいるなどと教えてはいません。 規則を破り、令状なしで薬剤師の自宅を警官仲間に捜索してもらいます。 そこには、10年前に誘拐された子どもたちが、薬漬けのせいで凶暴な殺人鬼と化して檻に閉じ込められていたのです。 檻から解き放たれた殺人鬼たち。 小さな町は彼らのせいで地獄と化します。 カイルと出会うドウェイン。 ドウェインはカイルに幼い日の思い出を語り、彼の理性に訴えかけ、殺戮を止めるよう懇願しますが・・・。 と、いうお話。 何となく安っぽい作りながら、つい観てしまいます。 このシリーズ、あまり評判がよくないですが、そこそこ観られる作品に仕上がっています。JIGSAW デッド・ゾーン パトリック・オケインビデオメーカーにほんブログ村映画(オカルト・ホラー) ブログランキングへ ↓の評...
お笑い

おばちゃん、死す

「男はつらいよ」シリーズで寅さんのおばちゃん役を演じ続けた三崎恵子さんが亡くなったそです。 90歳、死因は老衰だとか。 まさしく天寿を全うしたわけですねぇ。 じつは私、「男はつらいよ」シリーズ、全て観ています。 寅さんはじつにちゃらんぽんで腹立たしい男ですが、あんな生き方をしてみたい、と思わせるような魅力的な人物造型でした。 そして魅力的な寅さんの語り。 上野で生まれ育ち、浅草で舞台に立っていた江戸っ子らしい、乱暴なような、恥じらいをふくんでいるような、的屋の役がはまっていましたね。 でも渥美清その人は、読書好きで物静かな人だったというから驚きです。 言わば現実には存在し得ない、架空の破天荒な男とその家族の物語だったのですねぇ。 寅さんは大酒のみのだらしない男として描かれていますが、ただの酒飲みであったはずがありません。 博打もやったでしょうし、馴染みのプロの女が全国各地にあったでしょう。 それが素人のお嬢さんの前にでると、とたんに純情になるから不思議です。 私はいつか、寅さんのダーティーな部分を暴露した、「実録 裏寅さん」みたいなものを書いてみたいと思っています。 寅さんも亡くなって...
その他

バレンタイン・デー

今日はバレンタイン・デーですね。 最近ではすっかり職場での義理チョコが廃れ、清々しいですねぇ。 30くらいまで、私は様々な女性と飲み歩いていたため、義理チョコを毎年20個以上もらっていましたねぇ。 もしかしてその中に本命チョコが混じっていたのかもしれませんが、怖ろしいので詮索しないことにしていました。 今年はおそらく職場での義理チョコは無しでしょねぇ。 同居人から一個もらうだけかな? でも私の最強のモテ期は、小学校5年生から中学2年生くらいまででしたねぇ。 ラブ・レターをもらったり、直接告白されたり、面倒くさかったですねぇ。 男の子というのは女の子に比べて色恋沙汰に目覚めるのが遅いので、小学校高学年くらいでもてたって、戸惑うばかりでどうしようもないのです。 今思えばもったいないことをしました。 モテ期がもう5年遅ければ、入れ食い状態だったでしょうに。 お菓子屋が儲けるために始めたおかしなイベント。 義理チョコが廃れたのは結構なことです。にほんブログ村人気ブログランキングへ ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
文学

悪魔祓い

悪魔祓いという儀式は、世界のあらゆる民族が今なお行っています。 カソリックのエクソシストはローマ教皇庁が正式に認めた神父しかなれず、悪魔祓い自体、ローマ教皇庁が悪魔憑きと認めない限り行ってはいけないことになっています。 ということは逆に言えば、ローマ教皇庁は悪魔憑きというものがごく稀にではあっても存在していると認めていることになります。 日本では狐憑きとか犬神憑きとかが有名ですね。 また、死霊や生霊に憑依されたとされてお祓いを受ける場面は、子ども向けのテレビ番組などで時折見かけます。 南太平洋の島々やアフリカなどでも、泡を吹いた人の周りで踊ったりして憑き物を落とそうとしている映像を見かけます。 精神医学では、おそらく統合失調症の重い症状と見なすのでしょうが、西洋医学の薬物でもお祓いでも、正常な状態に戻れれば方法なんかはどっちだって良いと思うでしょう。 韓国の自称牧師とその妻が、三人の子どもが風邪をこじらせて寝込んでいるのを、悪魔憑きだと判断し、悪魔祓いの儀式を始めたそうです。 自称牧師の父親は自ら断食し、幼い三人の子どもにも断食させ、ベルトで殴るなどの暴行を加えたそうです。 で、結果は...
社会・政治

苗字制定記念日

今日は苗字制定記念日だそうです。 なんでも明治8年に、平民苗字必称義務令という太政官布告が出され、それまで熊さん八っつぁんで済んでいたものが、姓を名乗れ、というわけで、全国の苗字を持たない平民は大いに困惑したようです。 とりあえず自分の好きな名前をつけてよい、ということで、徳川だとか豊臣だとかの有名どころの名前をつけようとする庶民であふれかえり、役所は大混乱だったとか。 結局役人の一喝で徳川にも豊臣にもなれず、田中だとか佐藤だとか鈴木だとか、一般的な名前で我慢せざるを得なかったとか。 私の先祖は庄屋だったため、百姓ながら苗字帯刀を許されており、この騒ぎに参加することができなかったと聞いております。 でもどうせなら、庶民と一緒になって、金持さんとか、富士山さんとか、漂白さんとか、助平さんとか、面白い名前になりたかったですねぇ。 私の苗字はごく一般的で、つまらないのですよ。 知り合いには色んな珍しい苗字の人がいます。 相墨(そうすみ)さん、近嵐(ちかあらし)さん、大学さん、神(しん)さん、鬼さん、などなど。 そういう苗字の人が羨ましかったですねぇ。 苗字の浅い歴史を考えると、家がどうとかい...
その他

急逝

米国のトップ歌手、ホイットニー・ヒューストンが急死したという報が飛び込んできました。 48歳、驚きましたねぇ。 薬物依存症だったともアルコール依存症だったとも聞きますが、死因は定かではありません。 彼女の歌というと、1992年、バブルの終わり頃に流行った映画「ボディ・ガード」の主題歌を思い出します。 ちょっと日本にはいないような声量と、のびやかな歌声が魅力でした。 「ボディ・ガード」というと、思い出すエピソードがあります。 当時私は社会人一年生。 日々悪戦苦闘していました。 そんな中、私と同級の学生時代の女友達が、後輩のまだ大学生の男にデートに誘われました。 女友達は気さくな質で、気楽に応じて二人で「ボディ・ガード」を観たそうです。 ここまでは微笑ましい若い男女のデート。 その後、女友達を恐怖が襲うのです。 なんと後輩君はバブルの風潮に毒されたのか、金など無いくせに高級フレンチ・レストランを予約しており、それだけでもびっくりしたのに、指輪までプレゼントされたのです。 怖ろしいですねぇ。 初デートで指輪って、脅迫しているようなものです。 そんなベタなことをするやつが本当にいるとはねぇ。 ...
映画

テキサス・バイオレンス

米国で起きた実際の事件をもとにした「テキサス・バイオレンス」を鑑賞しました。 冒頭のテロップで、これが実話を基にしていること、有史以来、最も奴隷が多いのは現在であることが語られ、いきなり衝撃を受けます。 奴隷といっても労働をさせるのが目的ではなく、もっぱら売春をさせるため、若い女や少年が拉致・監禁され、売春を強要されている、というのです。 メキシコ国境に近いテキサスの田舎町。 町外れに、青い家が建っています。 町で唯一の売春宿です。 この売春宿、若い女を誘拐しては売春に従事させ、売り物にならなくなると殺害してしまうという、にわかには信じがたい営業を行っています。 そしてその日も、ある若い女が誘拐され、彼女を探す弁護士の姉とその夫が命がけで救出する物語です。 売春宿を経営する側も、それに立ち向かう側も、じつに暴力に親和的です。 簡単に銃をぶっ放し、相手を殴り殺してしまいます。 米国の暗部を抉り出して、後味の悪い佳作に仕上がっています。 しかも町の女保安官補が売春宿に協力しており、その殺し合いは凄惨を極めます。 唯一の救いは、女保安官補の上司の保安官がまともなことです。 でも多分、フィクシ...
社会・政治

円高

円が1ドル=76円25銭の史上最高値をつけたそうですね。 戦後の固定レートでは1ドル=360円だったと記憶しています。 その後変動制に移行して、私が子どもの頃は大体1ドル=250円くらいと覚えさせられました。 バブルにいたって1ドル=120円くらいまで上がって、日本人は米国などの土地を買いあさり、海外旅行に出かけては買い物しまくって、強い円の恩恵に浴しましたね。 日本の景気が上向きの時、天井知らずの円高が進行するのを見るのは、どこか誇らしくもありました。 東南アジアに旅行して、地元で買い物する際、自国の通貨を嫌うどころか、ドルより円をねだられたことも数知れません。 私は経済に関してド素人です。 だから当然、なぜ世界一の借金大国で、貿易も31年ぶりに赤字に転落した今の日本の円が上がり続けるのか、不思議で仕方ありません。 新聞を読むと、円高というよりドルとユーロが異常に安いのだとか、わが国の国債はほとんど日本人が買っているので、国際的に見て借金という認識が薄いのだとか、消去法で円を買うしかないのだとか、様々な解説が試みられていますが、どれも腑に落ちません。 通貨が買われ、結果的に価値が上が...
散歩・旅行

新宿から大久保

今日は週末恒例の散歩です。 新宿駅で降りて、歌舞伎町から大久保へ抜けました。 歌舞伎町、しばらく行かない間にずいぶん変わりました。 コマ劇場は空き地になり、大きなビルを建てるようです。 郊外型のシネコンがあちこちに出来たせいか、映画館も大方つぶれていました。 そんな中、シネマスクエア東急は頑張っていました。 ここは昔から、シネスイッチ銀座や日比谷シャンテ、岩波ホールなどと並んで、通好みの単館ロードショー館として名を馳せてきました。 私は高校・大学の頃、これらの映画館に学校帰りによく立ち寄りました。 シネマスクエア東急で観た映画では、ケン・ラッセル監督の「ゴシック」という耽美主義的なゴシック・ロマンの映画が印象に残っています。 後に就職し、私と同期の女性が当時千葉市に住み、千葉市内の高校に通っていて、「ゴシック」を観たくて仕方なかったけれど、歌舞伎町なんて行ったらさらわれて売られちゃうと思って諦めた、という話を聞いた時は笑いましたねぇ。 一方私も行かれなかった映画があります。 男性同性愛を題材にした美しい文芸作品、ジェイムズ・アイボリー監督、ヒュー・グラント主演の不朽の名作「モーリス」で...
思想・学問

建国記念の日

今日は建国記念の日ですね。 せっかくの祝日が土曜日と重なったのは誠に悔しいかぎりです。 休みを一日損した気分。 建国記念の日は、戦前、紀元節と呼ばれ、紀元前660年のこの日、初代天皇である神武天皇が即位した日とされています。 戦後はGHQが紀元節を嫌い、長く祝日ではありませんでしたが、占領軍が去ると国民の間から紀元節復活を願う声が澎湃として起こり、10年近い議論の末、昭和41年に建国記念の日として復活しました。 戦後の歴史学界では、長く、神武天皇を含めて最初の十代は実在しない、神話上のフィクションであるとされてきました。 なにしろ寿命が異常に長いのですよ。 神武天皇は126歳まで生きたことになっています。 しかし近年の歴史学研究の結果、寿命はともかく、神武天皇に相当する人物の実在を否定することはできない、という説に傾いてきました。 時代が変われば常識も変わるということでしょうか。 「日本書紀」によれば、神武天皇は橿原宮で即位した際、 六合(くにのうち)を兼ねて都を開き、八紘(あめのした)を掩(おほ)ひて宇(いえ)にせむこと、またよからずや             と宣言したことになって...
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