2010-09-11

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思想・学問

閨房哲学

サド侯爵の作品は、文字通りサディズムに溢れており、ときにそれは滑稽なほどですが、話の合間に、登場人物たちによる長い哲学的な会話が交わされることを特徴とします。 その特徴は、まずアンチ・キリスト、それに死後の不存在、さらに快楽至上主義、また人間の法より自然の掟、といったところでしょうか。 「閨房哲学」はサド思想を知るうえでもっとも平易な作品ですが、そこで殺人を正当化する理屈が語られます。 自然にとって、人間の命も動物や虫の命も等価値なはずで、人間が牛や豚を殺すのと殺人を犯すことは、どちらも残虐非道な犯罪か、あるいはどちらも取るに足らないことでしかない。人間は他の生物を殺害しなければならない宿命を負っており、牛や豚を殺すことは取るに足りないことだ。したがって殺人も取るに足りないことだ、というわけです。 屁理屈みたいなものではありますが、幼児に「どうして人を殺しちゃいけないの?」と問われると、なかなかうまく答えられないのではないでしょうか。  例えば絶対に捕まらないという保証があり、殺せば莫大な金が手に入る、という状況で、眠っている老い先短い老人を前に出刃包丁を持っていたとしたら、どうするで...
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