2010-09-13

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思想・学問

H.G.ウェルズと退廃

子どもの頃、H.G.ウェルズのSF小説をよく読みました。 「タイム・マシン」、「透明人間」、「モロー博士の島」等々。 いずれも優れたエンターテイメントであり、19世紀末の社会を風刺する文明批評でもありました。 これらの小説と退廃を結び付けて論じた論文を読みました。 太田省一という社会学者による論文で、タイトルは「退廃・獣人・嫌悪」といいます。 ダーウィンの進化論を援用して、生物は一方向に向かって進化していくのではなく、むやみに多くの変種を生み、たまたま自然に適応した種だけが生き残るので、人類は進化でも退化でもない状態=退廃の状態に置かれる、と人間の状況を定義付けます。 「タイム・マシン」では80万年後の、労働から解放されたユートピアのような世界に住む、優雅で温和なエロイと出会い、彼らの生活に主人公は安堵します。しかし、それは地下で労働をもっぱらにする獣人モ―ロックによって支えられていることを知ります。さらに恐怖すべき発見をします。モーロックの食糧はエロイなのです。 主人公はさらに未来へと進み、もはや人類の末裔は見つかりません。 それでも、主人公は未来へと進みます。 19世紀末に戻り、主...
思想・学問

宇宙樹

地球が丸くて、しかも宇宙の片田舎にある太陽の周りをぐるぐる回っている、とする事実を突き付けられたとき、当時のヨーロッパの人々はひどく動揺したようです。 それはそうでしょう。地球は宇宙の中心にあって、地球の周りを他の星が回っていると考えていたのですから。 宇宙の中心にある星に君臨する人間は、神様に似せて作られた立派な生き物のはずでした。 それがその他大勢になってしまったわけです。 学芸会でお姫様役のつもりだったのに、どっちを向いてもお姫様で、誰も世話する役がいなかったようなものです。 かくして、地球及び人間は、自らの力で孤独に生きる運命を思い知らされました。 古代、北欧では、巨大な木が世界を構成していると考えられていました。その名称は、宇宙樹とも、世界樹とも。 下の絵が、北欧で考えられた世界です。  イスラム教にも、天上に通じる巨木に対する信仰が見られます。 わが国においても、杉の木や楠などの巨木にしめ縄を張って、ご神体としてお祀りしますね。 木だけでなく、古くはバベルの塔やピラミッド、現代ではドヴァイ・タワーや建設中の東京スカイツリーなど、人間は天上へ天上へと志向していきます。 天上に...
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