2010-12-21

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思想・学問

死者に鞭打つ

その昔、尾張藩主、徳川宗春は将軍家の怒りを買い、隠居謹慎、死後は墓石に縄が打たれるという恥辱を味わったとか。 死者に鞭打つとはこのことですね。 しかし、なんで死者に鞭を打つんでしょうね? 死人の墓石に縄を打ったところで、ご当人は死んでいるので痛くもかゆくもないでしょう。 あるいは遺族を苦しめて意趣返ししようというのでしょうか。 他に、石川淳が永井荷風の死後、「敗荷落日」で荷風山人を激しく責めていたことを思い出します。 一般には、例え犯罪者でも、死後、その人を侮辱するような言説は控えるのがマナーとされているように思います。  死者に鞭打つことが一種の禁忌になっているのは、恐らくは死後存在への怖れだけでなく、死者は生物学的には生きていなくても、物語としては生き続けているからではないでしょうか。 例えば親が亡くなったとして、子は何かの折に親を思い出し、こんな場合はきっとこんなことを言っただろう、と想像します。 すると親を憶ええている者が存在するかぎり、親の物語としての生は終わりません。 秀吉や信長などは、まさに物語のなかで営々と生き続け、サラリーマンは徳川家康を好む者が多く、経営者は織田信長...
映画

女優霊

Jホラーの金字塔にして不滅の名作、「リング」の中田秀夫監督の出世作「女優霊」を観ました。 長らくDVD化が待たれていた幻の作品です。  とにかく、怖い。  ある映画を撮影していて、ラッシュ・フィルムに未現像の映像が映っていることに、新人監督が気付きます。 そこに写っている女優、監督はどこかで見たことがありますが、思い出せません。 未現像フィルムのことを気に掛けながら、撮影に没頭する監督とスタッフ。 しかし、未現像フィルムに写っていた女の幻影に悩まされるようになり、ついには撮影所で悲劇が起きます。 撮影所というのは、学校や総合病院と並んで、怪談の舞台によく使われますね。 この映画でも、ベテランの技師が変に怯えていたりして、雰囲気を盛り上げます。 何より映像に気品と緊張感があり、どこが怖いというのではなく、すべての画面から恐怖がにじみ出てきます。 日本人の大好きな長い黒髪の美人の霊がでてきますよぉ。 中田秀夫監督という人はホラーの天才ですね。 恐らく相当の怖がりとみました。 怖がりでなければ、怖い映画なんて作れません。 怖がりだからこそ、何が怖いかよく知っているのでしょう。 私は多くのホラ...
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