2010-12

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文学

蕪村句集講義

日曜日、「坂の上の雲」が放映されていました。 香川照之演じる正岡子規の最後は、凄絶なものでした。 苦痛に悲鳴を上げながらも句作の筆をとる執念、怖ろしいばかりです。 足あり、仁王の足の如し。 足あり、他人の足の如し。 足あり、大盤石の如し。 僅かに指頭をもってこの脚頭に触るれば、大地震動、草木号叫、女媧氏いまだこの足を断じ去って、五色の石を作らず。  「病床六尺」からの引用です。 女媧氏云々というのは、昔天地を支える柱が折れたとき、亀の足を切って柱を支えたという話から、その女媧氏でさえ自分の足は切れまい、という慨嘆でしょう。 大げさな表現にも見えますが、結核の毒が全身にまわったその痛みというのは、想像を絶するものであったでしょう。 正岡子規の母親は、臨終後、「もう一度痛いと言うてみい」と言って子規の足を叩いたそうです。 痛ましいかぎりです。 最近、子規が高浜虚子、河東碧梧桐と「蕪村句集」の輪読会を開いた様子を記した「蕪村句集講義」が出版されました。 それぞれの俳人が蕪村の句を取り上げて、これは昼だ、いや夜だ、後家だ、いやいかず後家だ、そっちのほうが趣がある、と談論風発。 誠に楽しげに蕪村...
仕事

負荷検査

上司から、1~3月、猛烈に忙しくなる部署のお手伝いをするよう命じられました。 ただし、現在の職務はそのままで、空いた時間でお手伝いをすることになります。 今の仕事量が少ないので、かえって張り合いがでると、喜んでいます。 今日その部署の人たちと打ち合わせをしましたが、話を聞いていると、雑用に忙殺されているようです。 雑用なら量が多くてもたいしてストレスにはならないでしょう。 復帰して八カ月目。 そろそろ負荷検査を行う時期ということでしょう。 ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
思想・学問

非暴力

非暴力といえば、インドの偉大な魂、ガンヂーですね。 当時世界最強の大英帝国に対して非暴力で立ち向かい、インド独立を果たしたのだから驚くべき偉業です。 聖者でなければ出来ない仕事です。 しかし生身の人間が聖者になどなれるのでしょうか。 聖者というのは、内部に巨大な矛盾を抱えた存在にしかなりえないのではないでしょうか。 例えばガンヂーは、インドの父となりましたが、四人の実子の父であったのか、また妻の夫であったのか、疑問です。 ガンヂーは38歳のとき、妻との性的関係を断つことを宣言し、妻子には、家族ではなく、非暴力運動の同士となるよう求めました。 ここに、聖者ガンヂーの、目的のためならば家族すら捨て駒にしようという、悪魔の顔を見ることができます。 とくに長男ハリラルは悲惨です。 英国留学の夢を父によって断たれ、清貧・禁欲の生活を求められます。 ハリラルはそれを断って結婚し、女色と酒に耽ります。 借金とりから逃れるため、乞食の姿でインド中を放浪し、父、ガンヂーの死に目にもあえず、ガンヂーの死後半年で、哀れな生涯を閉じることになります。 あまりに偉大な父をもってしまった平凡な息子の悲劇です。 大...
思想・学問

ワイロ

私の職場にいるオランダ人の日本史研究者が興味深いことを言っていました。  東京の地下鉄でかなりの金額が入った財布を紛失した、もう出てくるわけがないとあきらめていたら、誰かが拾って警察に届けた、名刺を入れていたので警察から連絡があり、無事手元に戻った、日本人の倫理感は素晴らしい、というわけです。 世界中の大都会で、東京でしかこんな奇跡は起こり得ない、とまで。 ところが不思議なことがある、と続けます。 日本人の倫理意識はこんなに高いのに、なぜエリートの高級官僚や政治家が収賄事件をこんなに頻繁におこすのだろうか、と言うのです。 一つ考えられるのは、政治家や高級官僚を目指すようなやつは、高い確率で悪いやつが多い。 または、悪いやつがいる確率は他の社会と同じだが、政治家や高級官僚を何年もやっていると、誘惑が多く、悪いことに手を染めてしまう確率が高い。 どっちかなんじゃないかと思います。 それを防ぐにはどうしたらいいか? 教育するといっても、日本で最高の教育を受けてきたであろうエリートをこれ以上どうやって教育するのかわかりません。 厳罰化したら、犯罪が巧妙になるだけでしょう。 しかし、もっと身もふ...
思想・学問

欧州貴族と武士

昨夜某大学の紀要を読んでいて、面白い記事がありました。 ヨーロッパの貴族の教養と日本の武士道を比較して、ヨーロッパ貴族の教養は債権債務主義で、日本の武士道は債務至上主義だというのです。 債権債務主義というのは、貴族は特権と富を手にするが、代わりに高い倫理観と重い義務を負うということです。 莫大な債権を持っているけど、負っている債務も重い、従って両者は相殺されて、貧乏な庶民と同じになる、ということでしょう。 第一次世界大戦後、英国ではイートン校の庭の勝利、と言われたそうです。 エリート貴族が集まるイートン校出身の将校が一番戦死率が高かった、とのことで、ヨーロッパでは敵の前で伏せる場合、将校は最後に伏せ、立ちあがる場合最初に立ちあがるのが当然と考えられていたということですから、うなづける話です。 武士道では、債権を投げ出して滅私奉公せよ、という債務だけがある、ということです。 この影響は現在の日本にも及んでいて、犯罪であるはずのサービス残業が横行したり、欧米では100%取得が当然の有給休暇が、日本では50%程度しか消化されていないなど、債権よりも債務を優先させる癖がついてしまっているように...
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