2011-01-17

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文学

希薄

2009年、村上春樹がエルサレム賞を受賞したとき、私は初めて、しゃべって動く村上春樹を目撃しました。 村上春樹という人はそもそも存在しないんじゃないか、という漠然とした予感のようなものを感じていた私は、生身のさえない中年男をテレビで見て、失望を感じたものです。 デヴュー作「風の歌を聴け」は大学生のわずか19日間を描いた小説ですが、そこにはドラマがありながらストーリーが希薄で、架空の米人作家、ハートフィールドなる人物に仮託して作家の思いを語ったり、なんだか現実感がないのです。 そこが魅力なのですが、この希薄さはなんだろうと、何度も読み返したことを思い出します。 続く「1973年のピンボール」・「羊をめぐる冒険」・「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と、確かな物語がありながら、何か希薄なのです。 そのような印象から、村上春樹という作家は存在しない、もしくは表に出てこない、と勝手に決め付けていて、エルサレムでイスラエルを批判する政治的なスピーチをする丸顔の中年を見て、腰が抜けるほど驚いた、という次第です。 三島由紀夫や石原慎太郎、村上龍のように過剰にマスコミに登場する小説家もいれば...
文学

遊行女婦(うかれめ)

律令制の時代、都から各地に任官した役人は、地方役人から接待を受けました。 今と同じですね。 今、女性のいるお店で接待するのと同様、その昔宴席で和歌を詠んだり踊りを踊ったりする女性に遊行女婦(うかれめ)がいたそうです。 遊行女婦(うかれめ)は教養あふれる地方の名士であったらしく、万葉集に都からきた役人と恋歌を交わしたりしています。 おほならば かもかもせむを 畏(かしこ)みと 振りたき袖を 忍びてあるかも  児島(あなた様が普通のお方ならば別れを惜しんであれもこれもといたしましょうに、 畏れ多き身分のお方なのでこのようにお別れのしるしの袖を振りたくてもじっと我慢して耐え忍んでおります) 大和道(じ)は 雲隠(くもがく)りたり しかれども 我が振る袖を 無礼(なめ)しと思(も)ふな 児島(とは云うもののあなた様がはるか遠い雲の彼方と思われる大和にお帰りになると思うと、もう二度とお会いできないという気持がこみ上げ、ついに堪えきれず袖を振ってしまいました。どうか無礼な仕業とお思い下さいますな) 旅人も落涙を禁じえず、大勢の人の前で次の歌を返します。 ますらをと 思へる我や水茎の 水城(みづき)...
社会・政治

独裁者、敗れる

阿久根市の竹原前市長、選挙に敗れましたね。 彼の政治手法については、このブログでも何度か取り上げ、危惧を表明してきました。 市職員組合とマスコミに負けた、とコメントしていましたね。 これは民主党とも相通じる大きな誤解です。 市職員は部下、敵ではありません。 部下を敵に回して仕事はできません。  竹原前市長がやろうとしたことは、それほど過激なことではありません。 破綻寸前の阿久根市の現状に鑑み、市議や職員の給与を削減しようとしたことは、納得できます。 しかし、やり方があまりに独善的でした。 本来災害時などのやむを得ない場合を想定して専決処分という行政行為が許されているのを悪用して、平時にも関わらず議会を開かず専決処分を連発。 張り紙を剥がしただけの職員を懲戒免職。 議会への出席拒否。 自分に批判的な人物が理事長を務める保育施設への補助金凍結。 でたらめです。  おのれ一人阿久根市の救世主のような顔をして、人の意見に耳を傾けようとしない。 市長は市民から選ばれていますが、市議も市民から選ばれていることを忘れているようでした。 今回、阿久根市民が良識を示したことは良かったと思います。 無事こ...
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