2011-02-05

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美術

幽体の知覚

今日は六本木ヒルズの森美術館に出かけました。 展覧会は、小谷元彦展 幽体の知覚です。 現在活躍中の30代の芸術家による作品群は、美と醜の垣根を軽々と乗り越え、物思わしげな雰囲気で、私に迫ってきました。 床と天井に鏡を張り、四方を滝の映像を流します。 すると、上を向けば滝に上っていくように見え、下を向くと奈落に落ちていくように見えます。 私は上を向いたり下を向いたりして、自然の造形を自在に操る技に酔ったのです。 また、痩せた馬に乗った骸骨のように痩せた男が刀を振り上げている等身大の彫刻は、ぞっとするほどの迫力がありました。 この作家は、造形の根源を覗きたいという深い欲望を抱えているかのごとく、骸骨だったり、鍾乳洞だったり、少女だったりを、哲学的とも言える問いかけをもって投げかけてくるのです。 そのため、見終わったあと、非常な疲労を感じました。 帰りは六本木ヒルズから麻布に向かい、麻布十番商店街を冷やかし、疲労を癒すため珈琲をいただき、大江戸線の麻布十番駅から帰りました。 疲れましたが、むしろ心地よい疲れで、充実した美術鑑賞だったように思います。小谷元彦 幽体の知覚 Odani Motoh...
文学

高等遊民

最近、非正規雇用者の増大やニートが社会問題になっています。 明治末期から昭和初期にかけても、似たような問題がありました。 高等遊民の問題です。 高い教育を受けながら、就職せずにふらふら遊んでいるインテリです。 高等遊民というと、真っ先に思い浮かぶのは夏目漱石の「それから」に出てくる主人公でしょう。 高等教育を受けながら職に就かず、親からの仕送りで家に書生まで置いて読書や観劇にひたり、友人の奥さんと不倫する、どうしようもないやつです。 松田優作と藤谷美和子主演で映画化もされました。 ささやくようなセリフまわしの、静かな良い映画でした。 時の政府は高等遊民が共産主義や無政府主義などの反国家的な思想傾向を持ちやすいことから、これらを根絶やしにしようとしました。 つまり、職に就かせようというわけです。 しかし、高等遊民には武士は食わねど高楊枝的な態度の者が多く、求人があっても大学出の自分には不釣り合い、として断ってしまうことが多々あったと言います。 これなど、現在見られる大企業志向とだぶりますね。 高等遊民と言っても「それから」の主人公のように裕福な者ばかりではなく、生活のために日雇いの仕事を...
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