2011-04

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文学

満開

職場近くの公園の桜が、満開になっていました。 春なんですねぇ。 しかし満開の桜はどこかさびしげです。 命のはかなさを知っているからでしょうか。 もろともに あはれと思へ山桜 花よりほかに 知る人もなし 百人一首にも取り上げられた有名な 大僧正行尊の和歌です。 私が山桜をなつかしく思うのと同じように私のことをなつかしくおもってくれ、こんな山奥では花よりほかに知る人もいないのだから、といった意味かと思います。  この歌はさびしさを歌っていますね。  それは桜の本性であるかのごとくです。 では「山家集」所収の西行法師のあまりにも有名な歌。 願はくは 花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃  この歌ほど日本人に愛され、人口に膾炙されてきた歌も珍しいでしょう。 数寄の極地をあらわしているともいえます。 しかし桜を賛美しているようで、満開の桜の下で死にたいと、桜は滅びゆくものの象徴であることを暗示してもいます。 では、桜が散った後の歌を、「新古今和歌集」から。 式子内親王の歌です。  花は散り その色となくながむれば むなしき空に 春雨ぞ降る  桜の花は散ってしまい、その様子を眺めていると春雨...
文学

吃音

今日会った業者の若者、ずいぶんひどい吃音でした。 しゃべらんでよろしい、と思うほど。 私はこれまで、小学生のころ一人、大学のころ一人、ひどい吃音者を友人に持ちました。 鶏が先か卵が先か、二人とも女性が極端に苦手でした。 小島信夫に「吃音学院」という短編があります。 吃音矯正施設での、恋あり、犯罪ありのドタバタ・コメディーですが、小島信夫自身が吃音だったということもあり、障害を負った者の悲しみが底流に流れていたように思います。 吃音矯正施設では、女性が苦手な主人公が同じ吃音者の女性と付き合うことで、吃音をも女性恐怖をも克服しようとします。 彼には吃音ながらプレイボーイのライバルがいます。 言葉が出ない分手が早いんだそうです。 この三角関係を軸に、盲滅法電話をかけて喋ったり街頭で怒鳴ったりの吃音矯正、それに吃音矯正所の指導者の裏の顔などがちらついて、ドライな感じがよく出ています。 私は高校三年生の時は選択科目の関係で女子生徒40人に対し男子生徒5人のクラスだったり、大学も文学部のためか女性が多く、採用された職場も女性が多いため、女性恐怖というのは理解できません。 男だ女だと意識する前に、同...
精神障害

発病前

今日の午前中は久しぶりに忙しかったですね。 期限も迫っており、7年ぶりくらいに明らかに職場に貢献できているな、という実感を感じることができました。ありがたいことです。 私のねじまがった心をいやすのは、こういう仕事を不断に続けることでしょう。 発病前のように。
映画

隣人13号

午後もDVD鑑賞です。 小栗旬と中村獅童が二人一役をこなすという奇抜な演出が冴える「隣人13号」です。 小学生時代激しいイジメにあい、気弱に生きてきた十三。 しかし彼には、凶暴なもう一人の自分、13号が住み着いていたのです。 イジメッ子の代表、赤井が住むアパートに引越し、赤井が勤める建築会社にもぐりこんだ十三。 やがて十三は13号に取って代わられ、凄まじい復讐を実行に移します。 十三を小栗旬が、13号を中村獅童が演じ、そのギャップがこの映画の妙味でしょう。 13号を演じた中村獅童の凶暴さとキレぶりが鬼気迫る迫力を醸し出しています。 また、十三と13号の心の葛藤を、狭い密室で二人が相対するという場面で描き、サイコ・サスペンスとしての深みを出しています。 あまり期待せずに観たのですが、脇を固める役者たちもよくはまっていて、なかなかのエンターテイメント作品に仕上がっています。 イジメッ子夫婦の子供役をやった子役が本気で泣き出したというエピソードが残っているくらい、13号は怖いです。 私ならあんなの近寄ってきただけでちびっちゃいそうです。 暴力シーンに抵抗がない方にはお勧めできる逸品です。隣人...
映画

キャタピラー

今日はこの前の日曜出勤の振替でお休み。 朝からDVD鑑賞を楽しみました。 寺島しのぶが多くの映画祭で主演女優賞を受賞した「キャタピラー」です。 戦時中のある村に傷痍軍人となってある少尉が帰ってきました。 傷痍軍人とはいっても半端ではありません。 両の手足を失い、耳も聞こえず、満足に話せない。 ただ世を恨むような鋭い眼光だけが、彼の無念を物語っています。 新聞に生きた軍神と取り上げられ、勲章をもらい、村で生きた軍神様として崇敬の念を集めています。 しかし、寺島しのぶ演じる軍神の妻にしてみれば、新たな地獄の始まりです。 世間では貞節な軍神の妻を演じ、家に帰れば肉の塊にすぎない夫の世話。 軍神は食うことと、妻の体を求めることにだけ、凄まじい執念を見せます。 食うか、寝るか、やるか。 妻はそれに耐えながら、日本の勝利を信じて軍神の妻を演じます。 日本軍の配色が濃くなると、軍神はかつて中国大陸で犯し、殺した女たちの幻影に怯えるようになります。 そして迎えた敗戦。 夫と妻はそれぞれ違う将来を求めるのです。 寺島しのぶの演技があんまり大仰で、正直感情移入できませんでした。 一般的な日本人はあんなに泣...
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