2011-10-24

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文学

霜降(そうこう)

そういえば昨日は霜降(そうこう)だったのですね。 二十四節季の18番目、そろそろ霜が降りるころ、です。 牛肉の肉質のことではありません。 でも昨日はなんだか蒸し暑かったし、今日もそう冷えるというほどではありません。 初霜にはまだ三週間ばかり早いように思います。 明治の俳壇で、高浜虚子は守旧派のレッテルを張られました。 それに対して彼は、自分が守旧派だというのは他人が言っているのではなく、俳句の伝統美を守るため、自ら守旧と言っているので、それはむしろ褒め言葉だ、とへそ曲がりなことを言っています。 その高浜虚子に、霜降を詠んであまりにストレートな句があります。 霜降れば 霜を楯とす 法(のり)の城 霜が降ったなら霜を、花が咲いたなら花を感得して仏法を学ぶよすがにしようという、説教くさい句です。 私はあまりこの句を好みませんが、霜降をここまで素直に詠んだ句も歌も知りません。 そういうわけで、この時季にふさわしかろうと思ったわけです。 さて、彼の兄貴分である正岡子規は、また守旧とは異なった味わいの、秋の句とも冬の句とも見える面白いものを詠んでいます。 菊の香や 月夜ながらに 冬に入る 菊と月は...
社会・政治

労働基本権

今月はじめ、国家公務員等の給与を0.23%減額せよという人事院勧告が政府によって無視され、7~8%立法によって給与を減額することがほぼ決まりました。 労働権に制限を受ける公務員には、その代替措置として人事院が置かれ、戦後の混乱期を除き、人事院勧告ほぼ完全実施されていました。 高度成長期には民間会社の給料が右肩上がりだったため、人事院は毎年10%ちかく給与を増額せよという勧告を出してきました。 しかしバブルが崩壊して数年たつと、初めて減額の人事院勧告が出されるようになりました。 当然、官民格差が生じないようにするためです。 しかも行政改革の旗を掲げ、それこそ怖ろしい勢いで職員数が削減されていきました。 そのうち役所には誰もいなくなっちゃうんじゃないの?という冗談が、本当らしく聞こえてきたほどです。 一人への業務負担が過重となり、体を壊す人、精神を病む人、ひどい場合には自殺する人などが頻発するようになりました。 それでも給与減額と定員削減の波は止まず、次第に職員たちのモチベーションは下がり、モラルの低下が見られるようになりました。 給与が減って仕事が増えるのですから、人情としてやってられな...
思想・学問

裏側には何も

1990年代から2005年にかけて、評論家の大塚英志と小説家の笙野頼子との間で、くだらぬ論争が起きたことがありました。 大塚英志は、いわゆる純文学雑誌は出せば出すほど赤字になり、その赤字を漫画雑誌の黒字で補てんしており、文学作品には市場価値がない、というようなことを書き、それに対して笙野頼子が、純文学=芸術という観点から、芸術性の有無を無視して商品価値に力点を置くのは筋違い、という批判を行ったもので、これはだらだらと10年以上続きました。 そもそも両者は異なった立場で論を展開しており、ゆえに噛みあうはずもなく、笙野頼子のヒステリーと大塚英志の意地悪さが目立つ、醜いものでした。 挙句の果てに笙野頼子は「徹底抗戦!文士の森」なる書物を出版し、この論争は飯の種だったのだと教えてくれました。 嗤えます。徹底抗戦!文士の森笙野 頼子河出書房新社 文学上の論争というのは、時折起こりますね。 例えば昭和30年代、純文学と中間小説の優劣を論争した事件や、井上靖の「蒼き狼」をめぐって大岡昇平が史実を歪める作品だとかみついた、歴史小説論争など。 いずれも空しいですねぇ。 なんだか柔道の金メダリストと相撲の...
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