2011-10

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映画

百夜行

昨夜は東野圭吾のベストセラー小説を映画化した「百夜行」を観ました。 ある廃屋で背中を刺されて死んでいるのが発見された質屋の店主。 店主と愛人関係にあったと思われる女が自殺の疑いが濃い事故で死ぬと、この女を犯人として事件の捜査は終ります。 しかし、何か腑に落ちない刑事。 この刑事を、船越英一郎が抑えた芝居で演じて見事です。 名優だったのですね。 そして、お金持ちの家の養女となった犯人の娘と、中学在学中に家出した被害者の息子。 この二人には、不思議な接点がありました。 その絆を生きがいにする被害者の息子と、貧乏暮らしに戻ることを怖れるあまり、冷酷なまでに上昇志向を強め、着実に出世していく犯人の娘。 20年にも及ぶ物語りが、淡々とつづられます。 刑事が定年退職して後、初めて、ある有力な証言を得、事件の意外な真相を知ることになります。 そこには、少年少女時代に築いた被害者の息子と加害者の娘の絆が、深く影響していたのです。 あまりに長い物語りを、よく二時間半にまとめたものだと思います。 堀北真希の冷たい演技よりも、船越英一郎の滋味深い演技が心に残ります。 当代一流のストーリーテラーの手になる上質...
思想・学問

世に「渡る世間は鬼ばかり」なるテレビ・ドラマがあって、たいそうな人気だそうですね。 私は一度も見たことがありませんが、バラエティーなどでパロディや宣伝をやっており、何となくどんなドラマか知っています。 同じように、「北の国から」も一度も見なかったわりに、なんとなく内容を知っています。 それだけの人気を誇ったということでしょうか。 米国では、2歳の孫を高さ6階のショッピングモールから投げ落として殺害した老女が逮捕されました。 それを聞いたとき、心神喪失かな、と思ったのですが、あにはからんや、違っていました。  警察の見立てだと、未婚の娘を孕ませた義理の息子への復讐だった、ということです。 「渡る世間は鬼ばかり」なんてものじゃないですねぇ。 まさに悪鬼。 テレビ・ドラマでは親類縁者がどろどろの愛憎劇を繰り返しているようですが、殺人事件までは起こしていません。 鬼はフィクションの世界ではなく、この現世にいるようです。渡る世間は鬼ばかり パート1 DVD-BOX 1橋田壽賀子ビクターエンタテインメント渡る世間は鬼ばかり パート1 DVD-BOX 2橋田壽賀子ビクターエンタテインメント渡る世間は...
社会・政治

裁判

昨日から小沢一郎被告の裁判が始まりましたね。 小沢被告は頑として罪を認めません。 師匠であった田中角栄元総理はロッキード事件で、尊敬する先輩であった竹下登元総理はリクルート事件で、後見人であった金丸元副総裁は佐川急便事件で、いずれも晩節を汚しました。竹下元総理です。金丸元副総裁です。 今また、小沢被告。 因果はめぐると言いますが、田中角栄直系の政治家は、どうしてこうも誰もかれもが汚職疑惑に見舞われるのでしょうねぇ。 かつては金の話は秘書に一切を任せ、政治理念を語るのが政治家の役割とされていたのが、田中角栄は大物政治家なのに自ら集金、配分をやって、それでボロがでたら切るべきトカゲのしっぽがなく、自ら逮捕される羽目になった、と聞いたことがあります。田中軍団です。 政治にダーティーな面があるのは否めません。 そういう面は、そういうことが得意な黒子にすべて任せ、いざとなったら黒子を切ればよいのです。 秘書3人に有罪判決が下り、にわかに小沢離れが加速し始めました。 いくら選挙に強いとか、集金力があるとかいっても、彼は政界をただくっつけたり打っ壊したりして楽しく泳いできただけで、例えば郵政民営化と...
映画

デッドクリフ

昨夜は山岳ホラー「デッドクリフ」を鑑賞しました。 クロアチアに山登りにやってきた男女5人。 登山口まで来ると通行止めになっていました。 まともな山男ならここで引き返すところ、腕に自信のある一人の男がいきなりロッククライミングで登り始めます。 男はするすると岩を登り、ロープをたらして残り4人を登らせます。 とりあえずは登山道に入ったらしく、あとは元気よく登り続けますが、名物の細い橋を順番に渡るうち、最後の一人のときにワイヤーが切れてしまいます。 ロープをつたってどうにか渡り切りますが、5人の間に不穏な空気が漂います。 と、ここまではあくまで山の恐怖を描いた映画。 ここから先、どういうわけか謎の殺人鬼が登場し、男女を殺しまくっていきます。 どういう事情でか、山で人間を狩って暮らしているらしいのです。 結局5人中4人が殺され、犯人も殺され、一人が行方不明という残念な結果に終わります。 殺人鬼を山の上のほうに持ってくるのは無理があると思います。 滅多に人は来ないし、だからこそ殺せませんよね。 山の恐怖に特化したほうが良かったのではないかと思います。デッドクリフ ファニー・ヴァレット,ジョアン・...
文学

「エーゲ海に捧ぐ」と「僕って何」

古い話で恐縮ですが、文芸春秋が売上100万部を超えたのは、「エーゲ海に捧ぐ」と「僕って何」が芥川賞を同時受賞したときと、「昭和天皇独白録」を掲載したとき、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』が掲載されたとき、金原ひとみの『蛇にピアス』と綿矢りさの『蹴りたい背中』が掲載された時の、わずか4回だそうです。 「エーゲ海に捧ぐ」と「僕って何」の組み合わせ、絶妙であったとみえます。 前者はきんきらきんに光り輝く、神話的な性愛の世界を描く耽美的なもの。 後者は学生運動に身を投じてなれないヘルメットに角材で武装して、街頭活動をやってみるものの、すぐに逃げ出して、僕って何者なんだ、と自問自答するという地味でありがちな湿っぽい青春文学。 両者は正反対のようでいて、意外にも共通点を持っているように思います。 「僕って何」の作者、三田誠広は、高校時代、学生小説コンクールでグランプリをとっています。 それがまた、くらぁい小説なのですよ。 「Mの世界」というのですが、おそらく著者自らのイニシァルからとったと思われるMなるやつがぐじぐじぐじぐじ思い悩んで、最後は自殺を図るという、わが国近代文学のつまらないエキスば...
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