2011-11

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文学

旅のラゴス

私は筒井康隆が書いたものをほとんど読んでいますが、じつは最も気に入っているのは、「虚人たち」のような実験的な文学作品でも、「東海道戦争」のようなコメディ調のSFでも、「時をかける少女」のようなSFジュブナイルでもありません。 筒井康隆としては異色の作品、「旅のラゴス」を最もよしとします。 文明を失った代わりに、様々な超能力を身に付けた人々が住む世界で、ひたすら旅を続けるラゴス。 旅の途中、王になったかと思えば奴隷になったり。 親しい人ができても、彼はその人と別れて旅を続けます。 別れ際、いくらなじられようと、ラゴスは旅を続けざるを得ないのです。 旅を描いた日本文学のなかでは、渋澤龍彦の「高丘親王航海記」にならぶ名作です。 「高丘親王航海記」がどこか乾いた幻想文学だとすれば、「旅のラゴス」は感傷的な要素を含んだ哲学的な作品です。 なにゆに彼は旅を続けるのか。 その旅に目的はあるのか。 よくわからないまま、短編の連作という形で、少年だったラゴスが成長し、老いていきます。 ポイントは、ラゴスの旅ではなく、旅のラゴスであるという点。 人生を旅に喩えるのは古来よく行われてきたことですが、この作品...
映画

NECROMENTIA SAWレイザー

昨夜はホラーの名作「SAW」と「ヘルレイザー」を合わせて邦題とした大胆な映画「SAWレイザー」を観ました。 原題は「NECROMENTIA」とういうのですが、これ、直訳すると「死体と精神」という意味になると思いますが、NECRO(死体)とMENTIA(精神)という二つの単語をつなぎ合わせているので、造語なのかもしれません。 横文字は苦手なのでうまい訳が思い浮かびません。 床屋のヘイゲンは亡くなった妻の遺体を防腐処理して夜な夜な風呂に入れ、死姦しています。 それというのも、亡くなった妻は生き返ると信じているからです。 閉店後、店を掃除していると、暴漢、トラヴィスが乱入、ヘイゲンに妻を生き返らせる術を教えると言って拉致してしまいます。 トラヴィスもまた、亡き弟を蘇らせたいと切望していたのです。 トラヴィスはドラッグでバッド・トリップを繰り返し、その幻夢のなかで悪魔だか悪霊だかに地獄へ行って死者を連れ戻す方法を学ぶのです。 で、その悪魔だか悪霊だかが求めたのがヘイゲンを連れて来い、ということ。 時制を錯綜させているので分かりにくいですが、どうやらヘイゲンとは因縁浅からぬ仲で、彼に恨みを抱いて...
その他

新大関

二場所連続で新大関の誕生ですね。  琴将菊関に続いて稀勢の里関。 稀勢の里関の眼光するどい仕切りです。 師匠の元隆の里、鳴戸親方が亡くなってすぐの場所での快挙でした。  しかし、やや腑に落ちない点もあります。 3場所で33勝以上が大関昇進の目安と言われているなか、32勝での昇進。 しかも千秋楽を待たずに、複数の相撲協会幹部が33勝にこだわる必要はない、などと言いだし、これでは観るほうも取るほうも力が抜けるというものです。 稀勢の里関は何年も前から大関候補として期待されながら、大物に強いものの下位への取りこぼしが多く、なかなか昇進できませんでした。 この人の実力は衆目の一致するところ。 それだけに誰にも文句を言わせない堂々たる成績で昇進を決めて欲しかったものです。 そういう意味で、私はもう一場所相撲内容を吟味してからでも遅くはなかったのではないかと思います。 ライバルの琴将菊関が前の場所で立派な成績で文句なしの大関昇進を勝ち取ったことからも、そう思います。 琴将菊関です。 そうは言っても大関昇進はほぼ確実。 この際白鳳関を引退に追いやり、琴将菊関とともに横綱を張り、久しぶりに日本人横綱と...
社会・政治

大阪都

勝っちゃいましたねぇ。 橋下新大阪市長と松井新大阪府知事。 大阪維新の会の大勝利。 これで大阪市・堺市が解体し、東京23区のような特別区を創設する動きが加速するんでしょうね。 大阪市民は嫌じゃないんでしょうか。 少なくとも大阪市役所職員は猛烈に嫌でしょうねぇ。 自らが持っている政令指定都市としての権限を失うわけですから。 でも不思議ですね。 東京23特別区は、もう30年も前から特別区を廃止して、普通の市町村なみの権限を与えろという運動を繰り広げています。 23区の住民は全然関心を持っていないようですが。 ちょうど大阪市と東京23特別区で、真逆の方向を模索しているのですねぇ。 隣に芝は青く見える、というやつでしょうか。 いずれにしろ大阪都構想を実現するには、法律の改正が必要で、国会と霞が関を説得する必要がありますが、どちらも冷ややかにこの動きを見ています。 それとどうしても気になるのが、大阪維新の会が生まれながらに持っている独善的体質。 橋下新大阪市長は、「この国に必要なのは独裁だ」と言ってはばからない危険人物です。 せめてもう少し柔らかく、強いリーダーシップを持った指導者が必要だ、くら...
映画

人喰島

タイトルからして人を食った話ですねぇ。 「人喰島」。 デブの船長が操る観光船に乗り込んだ二組のカップル。 船長が方角を間違えて小さな無人島にたどり着きます。 せっかくだからと、ボートで島に向かうカップル二組。 船長は沖に係留して留守番。 無人島のビーチで一組のカップルはのんびり。 もう一組は島の探検に出かけます。 するとどこやらから顔や体に奇妙なペインティングを施した原始人のような男が現われて、ビーチの二人を殺害。 あまりのことに私はしばし呆然。 二人は原住民たちによって食われ、なにやら奇妙な儀式によって神への生贄にされてしまいます。 それを望遠鏡で見ていた船長、もう一組のカップルの安否を確認もせず、とっとと船で逃げてしまいます。 ビーチにもどって異変に気づいたもう一組。 洞窟にこもっていかだ作りを始めるも、まともな代物ができるはずもなく、男は原住民にみつかって殺害。 ところがその原住民、女に懸想してしまったらしく、こっそりとかくまいます。 もし他の原住民に見つかったら、村の掟により、よそ者は生贄にしなければならないからです。 ここからにわかに原住民の男と取り残された女のラブ・ストーリ...
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