2012-01-21

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文学

阿呆陀羅経

昨夜書いた記事で、「リピーターズ」と石川淳の「至福千年」の類似を指摘しました。 その際、「至福千年」をぱらぱらと読み返し、止められなくなってしまいました。 戯作調の文体で難解な高い思想性を、幻想的な物語の中で語りつくす手法はこの作家特有のもので、後にも先にも例をみない、極めて特異な文学世界を紡ぎだす驚嘆すべきものです。 代表作にして最高傑作「紫苑物語」をはじめ、戦前の共産党の暗闘を描いた「普賢」や、戦後の焼け跡に神を見る「焼跡のイエス」など、私はかつて夢中になって読んだ記憶があります。 三島由紀夫や野間宏など、石川淳と同世代の作家たちは、石川淳をどう評価してよいものか戸惑ったらしく、敬して遠ざけるような態度をとっていました。 もし石川淳を批判したなら、その批判の刃はそっくりそのまま自分に返ってくると恐れたのかもしれません。 そしてまた、文学的評価が高いにも関わらず、あまり売れなかったことは、ひとえにわかりやすい語り口とは裏腹に、難解な思想を含んでいたためと思われます。 そんな中、はるか下の世代の文芸評論家、江藤淳は石川淳の文学世界を、一言、阿呆陀羅経と言い放ち、論評すらしようとしません...
映画

シャッター・ラビリンス

今日は暖かい部屋に閉じこもってDVD三昧。 本日2本目のDVDは、「シャッター・ラビリンス」です。 舞台はスペイン。 水族館に勤めるシングル・マザーのマリア。 休暇をとって、幼い息子、ディエゴとともにフェリーである島に向かいます。 フェリーで眠っている隙に、ディエゴは行方不明に。 マリアは半狂乱になりますが、ディエゴは見つからず、半年が経ちます。 島の警察から、ディエゴと見られる水死体が上がったとの報せを受け、マリアは確認のため現地に向かいます。 しかし遺体は、ディエゴではありませんでした。 念のためDND鑑定をするよう警察に懇願され、検査技師が到着するまで三日間に島に滞在することになります。 同じようにフェリーで息子が行方不明になった母親が島に住んでいると聞き、会いに行くマリア。 その母親に、幼い男の子を誘拐する組織の存在を暗示されます。 ここからマリアの、無駄に長くて思わせぶりなディエゴ探しが始まります。 少々中弛みします。 オチは意外なものではありません。 謎があるようでなく、秘密があるようでありません。 どこまでも思わせぶりな作り込みになっています。 この映画の最大の欠点は、息...
社会・政治

悪い芽

橋下大阪市長、大阪維新の会から次期衆議院選挙に候補者を立て、大阪だけでなく、日本国を変えていこう、と怪気炎を挙げていました。 気持ち悪いですねぇ。 計算ずくなのでしょうが、怒って見せたり泣いて見せたり、情をからめて人気取りに走る感じが、いかにもポピュリズムのトリック・スターという感じで、胡散臭く感じられます。 国民に高い人気を誇った政治家といえば、中曽根元首相や小泉元首相を思い浮かべます。 中曽根元首相は皮肉たっぷりの余裕の答弁で受け答えし、情を表にだすことはありませんでした。 いかにもパワー・エリート然とした感じが、ポピュリズムと無縁な感じで、中曽根総理当時、私は中学生から高校生でしたが大ファンでした。 小泉元首相は毅然とした態度を取ったかと思うとプレスリーのモノマネなどしてお茶目な面がありましたが、情に訴えて人気を取ろうという感じはありませんでした。 むしろ持って生まれた変人気質が、ついつい見たくなってしまうという、天才役者のようなところがありました。 華があったんでしょうねぇ。 私は小泉元首相は北朝鮮に拉致を認めさせたこと以外は、大したことをしていないように思います。 むしろ後任...
映画

アウェイク

大寒らしい寒い朝を迎えました。 東京は昨日積雪を観測したそうですが、私が住む千葉市は雨でした。 千葉は温暖だなどと言われ、どこがじゃ?と思う寒い日々を過ごしていますが、東京よりは気温が高いようですね。 子どもの頃は雪が降ると嬉しかったものですが、今はしんどいだけです。 身も凍る戦慄の医療サスペンス「アウェイク」を鑑賞しました。 ある大金持ちの若者が心臓移植を受ける話ですが、彼はごくまれにみられる術中覚醒という状況に陥ります。 術中覚醒とは、全身麻酔をかけて体は完全に麻痺状態になっているのに、意識は覚醒していて、痛みも感じる状態のことです。 体を切り刻まれて痛みでのたうちまわるような状況でも、全身が麻痺しているため、それを訴えることができず、医師たちは眠っているものと信じて手術を続けるのです。 これは想像するだに怖ろしい状況です。 あらゆる拷問のなかでも最高に辛いんじゃないでしょうか。 映画では、術中覚醒中の若者が、あまりの痛みに途中から幽体離脱して過去から現在を彷徨い、手術に隠された怖ろしい陰謀を知ることになります。 親友だと思っていた医師や結婚したばかりの美しい新妻が、彼を手術中にや...
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