文学 立春
今日は立春ですね。 よくニュース番組などで、お天気キャスターが「暦の上では今日から春です」なんて言っていますが、「暦の上では」は余計ですねぇ。 季節の移り変わりに暦も糞もありますまい。 気温が低くとも、濃厚な春の気配がすでにこの国を覆っています。 岩間とぢし 氷も今朝は とけそめて 苔のした水 道求むらむ 「新古今和歌集」に見られる西行法師の歌です。 岩の隙間を閉じ込めていた氷も解けて、苔の下の水は流れるべき道をさがしているのだろう、といったほどの意かと思います。 立春にふさわしい歌ですね。 じつは私は西行法師の和歌をあまり好みません。 奔放に過ぎて、しかもやや感傷に走るきらいがありますから。 きっと平安末期の歌壇では、熱狂的なファンがいる一方、一部からは毛嫌いされていたのではないかと想像します。 太宰治や石川啄木がそうであったように。 しかしこの歌は、瑞々しい春の訪れを思わせつつ、まだ凛とした冷たい空気をも感じさせて、好感が持てます。 私が住まいする千葉市でも、近頃は池にうっすらと氷が張ったりしていますが、それもそろそろ終わりでしょう。 筒井康隆の小説「敵」では、妻に先立たれた独り暮...