2012-02

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文学

雪見

もう私が働く職場の庭では、梅がふくらんでいます。 それなのに今日は午後から雪になりました。 雪が降ると寒いですねぇ。 幸い積もることはなさそうです。 梅の花 それとも見えず 久方の 天霧る雪の なべて降れれば                                                    よみひとしらず 「古今和歌集」に見られる歌です。 春の雪で、梅の花が雪にまぎれてそれと分からない、という情景を詠んだ、寒々しいような、春が待ち遠しいような感じがよく出ていますねぇ。 手だれによる和歌と思われますが、よみひとしらずなんですねぇ。 では敬愛する蕪村先生は雪見をなんと詠んでいるでしょう? いざ雪見 容(かたちづくり)す 蓑と笠    与謝蕪村 蕪村は放浪の後、京都に居を構え、二度と旅に出ることはありませんでした。 芭蕉に比べ、軟弱な都会人だったのですねぇ。 さあ、雪見だ、といって重装備をする姿が、都会的と言えば都会的、大げさといえば大げさ。 京都ごときでそんなに降らないでしょうにねぇ。 どちらにしても、そこはかとないユーモアが漂います。 風狂の人の句ではありえませんねぇ...
文学

荒魂

石川淳の初期の長編に、「荒魂」という作品があります。 主人公佐太は、生まれた日は死んだ日だった、という紹介をされ、その破天荒な生きざまが綴られます。 化け物じみた生命力を持つ佐太は、口減らしのために生まれるとすぐにりんごの木の下に埋められてしまいますが、穴から這い出て大声で泣き叫びます。 父親はさらに頭を殴ってさらに深く埋めますが、やっぱり這い出てしまいます。 やむなく育てることにしましたが、姉二人を犯し、兄三人を召使のように使役し、父親は自分が元埋められていた場所に埋めてしまいます。 荒魂(あらみたま)は和魂(にぎみたま)と対をなす概念で、怖ろしい、荒ぶる神を表します。 佐太はこの後田舎を出て仲間を得、革命とも争乱ともつかない騒動に身を投じるのですが、果たして荒魂は佐太その人を指しているのでしょうか。 あるいは佐太の一派すべてを? この作品は石川淳お得意の現世的野心や神性に加え、現代風俗や経済問題などまで書き込み、べらぼうに面白い作品に仕上がっています。 しかし、「至福千年」や「紫苑物語」、「狂風記」に見られるような異常な緊張感とか、構成の妙に欠けるような気がします。 某文芸評論家は...
映画

こっくりさん 劇場版

昨夜はDVDで「こっくりさん 劇場版」を鑑賞しました。 こっくりさん、私が小学生の頃、流行りましたねぇ。 というか、私の学校では私が流行らせた張本人で、一時的に精神に異常をきたす子まであらわれて、教員にこっぴどく叱られました。 親には叱られませんでしたが、苦笑いしていましたねぇ。 「こっくりさん 劇場版」では、38年前に失踪した小学生の男の子が白骨化して山中で見つかる場面から始まります。 男の子はこっくりさんが大好きでした。 遺体が見つかってから、当時のクラスメイトが次々に変死を遂げていきます。 その連続変死事件で母を喪った女子高生が、霊能者の数学教師と一緒に謎解きを始め、白骨化した男の子の恨みが原因らしいと知り、これをこっくりさんで鎮めようとします。 毒をもって毒を制す作戦です。 なんとなく映像に気品がありました。 ホラーの名作、「リング」や「シャイニング」がそうであったように。 こっくりさんというのは、西洋でいうウィジャ盤にあたるもので、50音を書いた紙の中央に赤く鳥居を描き、そこに十円玉を置いて指を添え、こっくりさんを呼び出し、質問をすると十円玉が動いて文字を指し、回答してくれる...
その他

三つ子の魂

三つ子の魂百まで、とか申します。 私は物心ついた頃から、なにしろ物語が好きでした。 で、物心ついた頃から今に至るも不思議に思っていることがあります。 なぜ世の中で物語といえば、恋の話がやたらと多いのだろうか、ということです。 物語を凝縮したものと思われる和歌や流行歌にいたっては、その大半が恋を題材に取り上げています。 私は幼い頃から奇妙な話や怖い話が好きで、それは今もそうで、42年の人生の中で恋の話や恋の歌にのめりこんだことがありません。 だからといって、恋に興味がなかったわけではありません。 私にはどこか傲慢なところがあって、私が惚れるくらいの女は必ず私に惚れるものだと思い続け、それはかなりの確度で当たっています。 私が初めて同世代の女性と接吻を交わしたのは、7歳のときでした。 今思えば、汗顔の至りです。  しかしそれは、私をして恋の物語から遠ざけるに十分な、エキサイティングな経験でした。 すなわち、私が望めば恋は物語ではなく、現実として始まるのだ、ということを学んだのです。 そして7歳が10歳になり、15歳になり、さらに20歳になるうちに、他人の恋物語に全く興味が無くなり、さらには...
映画

ことりばこ

微熱も下がったので、「ことりばこ」をDVDで鑑賞しました。 小鳥の箱ではありません。 漢字で書くと、子取り箱。 最近2ちゃんねるで話題の怪談です。 大学のサークル仲間男2人と女3人の5人が、夏休みを利用して田舎のペンションに出かけます。 海も山も近い、自然の中にぽつんと一軒だけ建つ洋館です。 5人は海で遊び、夕食はペンションの庭でバーベキューをして楽しみます。 ペンションの支配人は、くれぐれも裏の神社には行かないように、と言って自室に戻ります。 マムシが出るから、と。 しかし行くなと言われれば行きたくなるのが人情。 まして若い大学生たちのこと、それは行けと言っているようなものです。 5人は深夜、肝試しと称して神社に向かいます。 なぜか神社に寄木細工で美しい装飾を施した箱が捨てられています。 それをペンションに持って帰ったことから、恐怖が始まります。 その箱こそ、子取り箱だったのです。 2ちゃんねるによれば、江戸末期、圧政と差別に苦しんだ農民が作り出した呪いの箱で、箱の中には子宮が納められており、箱を差し向けられた家では、子どもや出産可能な女性を呪い殺し、その家を絶滅させてしまう怖ろしい...
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