2012-03-08

スポンサーリンク
文学

最後の教育

安岡章太郎の自伝的作品に、「海辺(かいへん)の光景」という小説があります。 教育ママだった母親が認知症を患い、精神病院に入院。 主人公は母親の最期を看取るため、10日ほどその病室で精神的におかしくなった母親と過ごします。 父との不仲、母への愛憎が率直に語られ、胸を打つ作品に仕上がっています。 私が父を最期に見舞ったとき、もはや虫の息で、その翌日には亡くなってしまったわけで、あるいは父は私に対する最期の教育を怠ったのかもしれません。 苦しみ衰えていく怖ろしい姿を見せ、人は最期はこうやって苦痛にのたうちながら死んでいくのだ、という恐怖の、そして真実の教育を。 安岡章太郎の母親は恍惚の人となってしまったその姿を息子にあますところなく見せつけ、安岡章太郎は壊れいく母を見ながらどうすることも出来ない、という喪失を長く感じさせられ、人の死についての最期の授業を受けたと言えるのではないでしょうか。 それを受けて、息子はその母親の子供であるということだけですでに充分に償っているのではないだろうか?、と独語する主人公のやりきれなさには、涙を禁じえません。 ずいぶん前に読んだ小説ですが、鮮烈な印象を残して...
映画

プリンセス・トヨトミ

薬でぼんやりしながら、壮大な法螺話、「プリンセス・トヨトミ」をDVDで鑑賞しました。 大阪府庁など、大阪の行政機関数箇所を調査するために出張に出た3人の会計検査院の調査官。 堤真一を柱に、ひたすら食いまくる綾瀬はるか、若く切れ者の岡田将生の3人です。 ここで3人は、大阪の400年に及ぶ秘密に直面し、大阪の面々と対決するのです。 大阪夏の陣。 豊臣家の者は皆殺しにされたことになっていますが、秀頼の息子、国松が密かに生き延び、大阪の町人に守られて営々と豊臣の血脈を維持してきたというのです。 そしてその者を守るためだけに、大阪は明治維新の際、密かに大阪を国家として認めさせ、日本国に紛れて独立を維持してきたことを突き止めます。 しかし大阪国には、日本国家からの巨額の補助金が不正に支出されており、会計検査院の調査官としてこれを見逃すわけにはいかない、という結論に至ります。 そして大阪国は非常警戒を発令します。 すなわち、ひょうたんを家といわず店といわず路上といわず、転がし、つるすのです。 ひょうたんを見た男たちは血相を変えて大阪府庁へと詰め掛けます。 大阪府庁では、普段お好み焼き屋を経営しながら...
その他

もう一週間以上、微熱と咳が続いています。 3月2日に内科を受診してから、良くなった気がしないので、今日再受診しました。 インフルエンザの検査をして、ただの風邪だと分かり、前回出た薬にプラスして、解熱鎮痛剤がでました。 先生いわく、もう大方治っているそうですが、自分ではとてもしんどいのです。 昨日、咳き込みながら仕事をしていたら、上司から、体調が悪いときは休むのも仕事のうちだと言われ、お言葉に甘えて今日は休むことにしました。 いっぷう変わったところのある上司ですが、根は優しいものと見えます。 咳といえば、尾崎放哉の、 咳をしても一人 という自由律俳句が思い浮かびますね。 しかしわが職場は風邪が猛威を奮い、あっちでもこっちでも咳やくしゃみをしており、まるで競争のようです。  今日は家で、一人の咳に浸れます。 少しは尾崎放哉の句境に迫れるでしょうか。尾崎放哉全句集 (ちくま文庫)村上 護筑摩書房にほんブログ村 本・書籍 ブログランキングへ ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
スポンサーリンク