思想・学問 王殺し
亡父の蔵書の中から、英国の人類学者、ジェームズ・フレイザーの大著、「金枝篇」を翻訳した「図説 金枝篇」が出てきました。 亡父の蔵書の森を彷徨うことは、まことに心慰む業です。 本来の「金枝篇」、フレイザーが40年もかけて書き上げた全13巻の大著らしいですが、あまりに大部なために一般に読まれず、それを気に病んだ著者が上下2巻にまとめ、読まれるようになったそうです。 亡父が持っていた講談社学術文庫版は、その要約版を翻訳したもののようです。 ぱらぱらとめくっていると、欧州のみならず広く世界中に王を殺す風習があったとの章が目に留まりました。 もともとギリシア神話に、森の王という者がいて、これは逃亡奴隷なのですが、森の王となりたい逃亡奴隷は今君臨する王を殺害してその座を奪わねばならず、森の王となった者は、折ってはならない金枝を折らなければならない、というお話があり、その神話の謎を解こうと、世界中の神話を調べ、想像力をたくましくして描いた著作だそうです。 世界に普遍的に見られる物語は、王の力は神聖にして強大だが、老いによる衰えは免れず、王の強大な力によって栄えている国家や部族も、王の老衰とともに衰え...