文学 少年小説
私は一時期、「少女の友」という戦前の雑誌に興味を持ち、川端康成の「乙女の港」などの少女小説を耽読したことがあります。 それは誠に麗しい世界で、やや同性愛的でもありました。 最近、同時期に書かれた少年小説で、最も有名な、佐藤紅緑の「ああ玉杯に花うけて」という作品を読む機会に恵まれました。 タイトルは旧制第一高校の寮歌のようです。 20数年前までは、毎年寮歌祭というのが開かれ、旧制高校出身のおじいちゃんたちが、学ランを着て暑苦しい歌を歌って喜ぶ姿がテレビで放送され、私は化け物でも見るような気分で眺めたものです。 少女小説とは正反対で、こちらはまた、ずいぶんとむさ苦しい小説でしたねぇ。 むやみと喧嘩をしたり、感激して涙ぐんだり、説教がましい言説が頻繁に登場したり。 こんな暑苦しい少年なんてそうそうみかけません。 それとも戦前はそういう少年が多かったんでしょうか。 私は中年おやじですが、どうも少年小説の熱血ぶりにはついていけないようで、嘘くさくて麗しい少女小説のほうが趣味に合っているようです。 もう一つ驚いたのは、当時映画(活動写真と記されていましたが)を観るのは、不良少年か社会の下層階級にあ...