文学 夏の物語
夏というと、わが国では怪談ということになっていますね。 エアコンも扇風機も無い時代、怖い話を聞けば寒気がして涼しくなるだろうとは、優雅と言うかまどろっこしいと言うか、今では考えられないことです。 冷房が普及した現代日本においても、夏になると歌舞伎や寄席などでは競って怪談をかけ、テレビでも怪談めいたドラマが放送されます。 昔のわが国の怪談は、「東海道四谷怪談」にしても「番長皿屋敷」にしても、恨みつらみというはっきりした動機がありました。東海道四谷怪談 (岩波文庫 黄 213-1)鶴屋 南北,河竹 繁俊岩波書店四谷怪談 長谷川一夫,中田康子,鶴見丈二,近藤美恵子角川エンタテインメント番町皿屋敷岡本 綺堂メーカー情報なし 近頃のホラーはもっと複雑多岐になり、ホラーの中でもゾンビ物、スプラッター、サイコサスペンス、怪物物、シチュエーションスリラー、POVなどなど、多くのジャンルに分かれるようになりました。 一方、夏の終わりを描いた小説には、どこかセンチメンタルと言うか、メランコリックと言うか、感傷的な雰囲気が漂うようです。 晩夏の物寂しい雰囲気と、夏休みが終わってしまうという子供時代の記憶があ...