文学 鬼女とサイコパス
白無垢の花嫁が頭に載せる装束を、俗に角隠しと言いますね。 江戸時代の川柳に、 ありがたい 出る角かくし 眉かくし というのがあります。 花嫁というもの、さらには女人というものは、嫉妬や慾や恨みつらみの感情を隠し持っているという意味で、大乗仏教が生まれるまで、女人は成仏できないとされていました。 法華経で女人成仏が説かれ、浄土教でも同様の教えが始まり、かくて鬼たる女人も成仏できるというありがたい時代が到来したのです。 女が鬼となる物語といえば、安珍清姫伝説を嚆矢としますが、江戸時代、両国の回向院で、清姫が蛇に変化した際に生えた角が展示され、たいそう話題になったそうです。 これは能の「道成寺」、歌舞伎の「京鹿子娘道成寺」にまで昇華することになります。能 道成寺 能・狂言紀伊國屋書店坂東玉三郎舞踊集1 京鹿子娘道成寺 坂東玉三郎松竹ホームビデオ安珍と清姫の物語 道成寺 (日本の物語絵本)司 修ポプラ社 男への嫉妬心などから鬼となった女に、高僧が読経して心を鎮めさせ給い、かくして鬼の角がぽろっと取れて女は鬼から人に戻り、男と仲睦まじく暮らす、というのが近世の鬼女を題材にした仏教説話の典型と言え...