2014-08

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文学

戦艦大和ノ最期

吉田満の「戦艦大和ノ最期」を読みました。 この作品の存在は中学生の頃から知っていましたが、戦争賛美だの、軍国主義的だのという的外れの評判を耳にし、これまで敬遠してきました。 しかし、先日某文芸評論家が、これを近現代の日本文学最高の作品と紹介していたのを読み、テにしたというわけです。 全編漢字とカタカナの流麗な文語体で、自身が体験した大和の悲劇と、死ということ、国家ということ、戦争ということについて、学徒出陣で大和に乗り込んだ若い将校の苦悩が綴られます。 私が驚いたのは、大和の若い将校たちがかなり自由闊達に議論していることです。 例えば、世界の3大無用の長物として、万里の長城・ピラミッド・大和、と自嘲したり、海軍を救う唯一の方法は少佐以上全員銃殺、と言ってみたり。 彼らがそれで罰せられることはありません。 ただ黙殺されるか、同じ階級の将校同士で喧嘩になるか、です。 そしておそらく助からないであろう沖縄救援のため、片道分の燃料を積み、航空機による護衛もなく、駆逐艦9隻とともに特攻に出るという作戦ともいえない無謀な作戦に駆り出されるとき、それぞれが死ぬ意味を考え抜きます。 沖縄にたどり着く前...
映画

パズル

DVDで学園ホラーの意匠をまといながら、じつはサイコ・キラーが誕生するまでを描いた和製ホラー「パズル」を鑑賞しました。 パズルを完成させないと殺害する、というシチュエーション・スリラーめいた面もありますが、この映画の見所は、天才的サイコ・キラーの男子高校生に導かれ、自らもサイコ・キラーへと目覚めていく女子高生の恐怖と快楽がないまぜになった成長過程にあるでしょう。 さらに言えば、導師と弟子でもある2人が、互いに暗い欲求を持っているという秘密の元、惹かれあっていくという少年少女の恋愛譚でもあります。 残酷で不快な映画と言ってしまえばそれまでですが、85分という短い尺も手伝ってか、疾走するスピード感のなかに様々な要素を加え、しかも映画そのものがパズルのように繋がっていくという凝った作りになっています。 中高生向けのファンタジーめいたホラーとは違う、独特の世界を作り上げており、観る価値はあるでしょう。 特に女子高生が殺人の快楽に目覚めた瞬間、鮮血を浴びながら恍惚の表情を浮かべる様は、夏帆という若い女優の役者魂を感じさせる美的な映像世界でしたねぇ。パズル DVD夏帆,野村周平,高橋和也,八木さお...
仕事

事務室は敵だらけ。 とくに我より上位の役職者は全て敵。 我を目の敵にして監視怠りない。 就職23年目にして、このような仕打ちは初めて。 一体いかなることか、不思議で仕方が無い。 あるいは我の被害妄想か。 いや、証拠はある。 我は部署の責任者と一対一で話をすることを禁じられた。 ちょっとした報告ですら。 我の説得術、あるいは曲者ぶりを警戒しているらしい。 部署で我のみ、しつこくその日行った仕事の内容を上司に報告するよう求められる。 だがおそらく、その原因は部署の責任者が自己愛性パーソナリティ障害であると思われるからに相違ない。 そのような障害者の上司を得たことは不幸であるに違いないが、これに耐えることもまた、我に与えられた試練ととらえ、これを乗り切るよう努力せむ。 その努力が容易なものではないことは確かであろう。 とくに我が精神障害者なればなおのこと。 今日もまた、自己愛性パーソナリティ障害者の犬どもが腰ぎんちゃくのごとく昼飯を食いに出かけていきおった。 しかも我が直属の上司も犬と来ているからたちが悪い。 こいつ、すっかり自己愛性パーソナリティ障害者に洗脳され、支配されている。 自己愛性...
思想・学問

存在し得ないことの証明

ある物質なりが存在していることを証明するのは比較的容易だと思いますが、あると思われていた物が存在しないことを証明するのは、事実上不可能なのではないかと思います。 例えば霊的存在。 それが電気刺激なりに反応し、その存在を探る方法を発見することができれば存在を証明できるでしょう。 しかし、それが柳なのやら幻覚なのやら、あるいは見間違いなのか、判然としない場合、存在しないと言い切ることは出来ないでしょう。 なんとなれば、世の中には霊的存在を見た、あるいは見ることができる、と主張する人はごまんとおり、彼らが全員嘘つきだとも思えません。 そんな嘘をついたって、何の利益にもならないばかりか、むしろ変な奴だと、不利益を被るでしょう。 で、STAP細胞の再現実験のお話。 先般、中間報告で、論文に書かれた方法では再現できない、と発表されました。 しかし、小保方氏は、コツがあるとかで、STAP細胞が存在することを主張しつづけています。 この騒ぎを見ていて思うのは、霊的存在は無い、という証明が出来ないのと同様、STAP細胞は存在しない、という証明もまた、不可能であろうということ。 出来たとしても、せいぜい小...
文学

人にはとかじ

今日もまた、季節を先取りしたような涼しい一日でした。 こういう季節外れなら、大歓迎ですねぇ。 最近には珍しく、今日はなんとなく調子の良い日でした。 これを維持したいものです。 神秘(じんぴ)そも 人にはとかじ 氷室守 与謝蕪村の晩夏を詠んだ句です。 かつて製氷技術が無かった時代、冬の間にできた氷を融かさず保存するための施設がありました。 それが氷室。 氷室を維持管理するのが氷室守。 夏には氷室から氷を江戸に運んだりしたそうです。 氷は大層貴重であったものと思われます。 そしてその貴重さゆえ、氷室は神秘的存在としてとらえられ、氷室守は氷室を維持管理するのみならず、氷室の神秘を守るべき存在でもあったのでしょうか。 不気味なような、涼しいような、不思議な味わいをもった句ですね。 氷は将軍家に献上されるのみならず、玉川上水の水に氷を浮かべて氷水を売る水屋という商売があったとか。 しかし必ずしも衛生的とはいえず、年寄りなどはよく腹をこわしたため、年寄りの冷や水という言葉が生まれたとも。 私は氷をガリガリかじってしまうようなワイルドなことをよくしますが、腹をこわしたことなどありません。 衛生的な、...
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