2015-02

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文学

少年の暴行死

13歳の少年が河原で殺害されていた事件の容疑者とおぼしき17~18歳の少年3名が捕まったそうですね。 漏れ伝え聞くところでは、被害者の少年は不良グループのパシリのような役割だったところ、ささいな理由で暴行を受けるようになり、グループから抜けたがってさらなる暴行を受け、故意か否かはともかく、殺害に至ったようです。 故意か過失か未必の故意か、そこら辺は裁判で重要な要素になるのでしょうが、素人目から見ると、そもそも遺体が全裸だったという時点で、はなから殺す気だったとしか思えません。 実話をもとに残忍な殺人犯を描いた「凶悪」では、いともたやすく人を殺す、「先生」と呼ばれる人物が登場します。凶悪 山田孝之,ピエール瀧,リリー・フランキー,池脇千鶴,白川和子Happinet(SB)(D)凶悪 山田孝之,ピエール瀧,リリー・フランキー,池脇千鶴,白川和子Happinet(SB)(D)凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)「新潮45」編集部新潮社 何が「先生」だ、という怒りが湧いてくるような映画でしたが、それも実話だと思えばこそ。 虚構だと分っていれば物語として楽しめるでしょう。 日頃残酷な物語を楽しむ...
文学

美の仙人

職場の庭に植えられた紅梅が、見事に咲いているのに気付きました。 満開になるまで気付かないとは、我ながら迂闊です。 平安期に桜が好まれるようになり、江戸時代以降は花見といえば桜と定まりましたが、古く、奈良時代頃には、花といえば梅を指したと伝えられるほど、梅はわが国の人々に愛好されてきました。 早春、凛列たる空気の中、可憐に咲く様が人々の心をとらえたのでしょう。 また、桜よりもはるかに長く楽しめる点もよろしかろうと思います。 桜には狂気が似合うのと対照的に、梅には落ち着いた風情があります。 桜伐る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿、という言葉があるほど、梅は剪定に強く、生命力の強さを象徴してもいるのでしょう。 桜が咲くと、私の心はざわつきますが、梅の場合そういうことはありません。 梅を詠った詩歌は数知れませんが、私は何度かこのブログで紹介した与謝蕪村の句をもって嚆矢とします。 白梅(しらうめ)に 明くる夜ばかりと なりにけり というものです。 臨終の床にあって、あの世は愛する白梅が毎朝咲く夢のような世界なのだろう、と詠んでいるわけです。 桃源郷を端的に表すのに白梅を使うあたり、その心性がよくわかります。 ...
映画

昨夜は、あまりに不道徳で美しい、という触れ込みのホラーを鑑賞しました。 「肉」です。 高校を卒業したばかりと思われる姉と14歳の妹の美しい姉妹。 それに幼い弟と両親。 田舎町で平和に暮らす平凡な一家です。 しかしこの一家には、18世紀から続く怖ろしいしきたりがあったのです。 それはずばり、人肉食。 18世紀、獲物が取れずに困ったご先祖様が始めたようですが、食糧に不自由しなくなった今も、人をさらっては地下に監禁し、子羊と呼びます。 そして定められた日、一家の主婦が子羊を殺害して調理し、家族は正装してこれを食すのです。 ある時、母親が死亡してしまいます。 死因は、人肉食によって罹患するとされるクールー病。 この病気、パプア・ニューギニアのある部族で頻繁にみられるそうです。 最初は手や足が震えるようになり、やがて歩行困難になり、脳にも異常をきたすという怖ろしい病気です。 やはり共喰いはタブーであるようです。 母親の死に打ちひしがれる父親。 しかし彼は、人肉食を伝統どおり続けると宣言し、主婦たる役目を長女に命じます。 姉妹は激しい葛藤のなか、ついに殺害、調理を行ってしまうのです。 ラストは圧巻...
映画

白ゆき姫殺人事件

なんとなく疲れてしまい、今日は休暇を取りました。 午前中眠って過ごし、午後はDVDを鑑賞しました。 井上真央主演のサスペンス、「白ゆき姫殺人事件」です。 美人OLが殺害され、テレビ局の契約社員が真相を追います。 そのうち、殺害されたOLと同僚の、地味で目立たない女が容疑者として浮かび上がります。 井上真央が地味で目立たないOLの役を演じるのは違和感があるのでは、と思いましたが、そこは子役時代から芝居を続ける芸達者。 本当に地味に見えてきます。 怖ろしいのは、契約社員のツイッターでのつぶやきが拡散し、さらにはテレビのワイドショーなどでも取り上げられ、確たる証拠もないのに井上真央演じる主人公が極悪な殺人鬼として印象付けられていく過程。 現代の情報化社会が抱える病理が浮かび上がります。 また、証言する者によって、一つであるべき真実が何層にも語られる点は、芥川龍之介の名作、「藪の中」にも通じます。藪の中 (講談社文庫)芥川 龍之介講談社 追い詰められた主人公が自殺を決意した直後に真犯人が逮捕され、それをニュースで知った主人公が救われるというところも、どこまでいっても現代の情報がいかに現実を変え...
思想・学問

奇妙

ドイツでは長いこと、ヒトラーの著書、「わが闘争」は発禁でした。 あの暗い過去の記憶が、表現の自由よりも、禁書扱いにしたほうが楽だと思わせたのでしょう。 しかし、わが国においても、他の自由民主主義国家においても、「わが闘争」は容易に手に入れられる書物であり続けています。わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫)平野 一郎,将積 茂角川書店わが闘争(下)―国家社会主義運動(角川文庫)平野 一郎,将積 茂角川書店 私も学生の頃読んだ記憶があります。 これはミュンヘン一揆に失敗して監獄に入れらていた数年の間に獄中で書かれたもので、ナチズムの怖ろしさはまだそれほど伝わってきません。 この本はドイツでベストセラーになり、ヒトラーの個人資産は、ほとんどがこの本の印税であったと伝えられます。 このいわくつきの書物が、近々ドイツで再版されることになったそうです。 私は結構なことだと思います。 ナチズムの中核となる思想を一般のドイツ人が読めないのでは、ナチ統治下の反省をするにも、その理由が分らないでしょうから。  なぜナチズムはあれほどドイツ民族を熱狂させたのか、また、今なおナチズムに傾倒する者が存在す...
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