2015-09

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文学

沈黙のひと

昨夜、小池真理子の長編「沈黙のひと」を読了しました。沈黙のひと (文春文庫)小池 真理子文藝春秋 小池真理子というと、わりと色っぽい小説が多いイメージですが、今作は老いさらばえて死んでいった父親を恋う娘の物語でした。 50代、独身、バツ1、編集者の娘。 この娘が幼い頃、父親はよそに女を作り、妻子を捨てたのでした。 そうでありながら、定期的に棄てたはずの妻と娘に会いに来る不思議な男。 元妻も、当たり前のように受け入れるのです。 父親は新しい妻との間に二人の娘をつくり、そのうえ浮気もする、女にだらしない男です。 物語は父親が亡くなって後、異母妹らと遺品整理をするところから始まります。 そこで、娘は古くなって動かない父親愛用のワープロを持ち帰ります。 パーキンソン病を患い、言葉を発することが出来なくなった父は、ワープロを駆使して手紙を書いたり日記のようなメモを残したりします。 娘はワープロに残されたデータを復原し、在りし日の父の思いを知ろうとするのです。 やがて父親の病状は進み、キイ・ボードを叩く力すら失い、文字盤の文字を示すことすら手が震えて不可能になり、沈黙のなか、最後の日々を過ごすので...
その他

衰える

横綱、白鳳が初日から2連敗して休場することになったそうですね。 北の湖にしても、千代の富士にしても、貴乃花にしても、大横綱と呼ばれた人々といえど、衰え始めると呆気ないほど早く引退に追い込まれるものです。 白鳳は歴代横綱のなかでもダントツの優勝回数を誇り、目標喪失のような状態で、気力を維持するのは難しいでしょう。 気力が萎えると力が出ないのも理の当然。 「平家物語」の冒頭の一節、盛者必衰の理をあらわす、という文句を思い出します。平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)角川書店角川書店 野球にしてもサッカーにしてもボクシングにしても、どれだけ活躍し、強かった人も、加齢により、衰えていきます。 政治家をみていても、我が世の春を謳歌した竹下登も呆気なく逝ってしまいましたし、90代後半で、今も時折テレビで見かける中曽根康弘もすっかり衰えました。 アスリートや政治家がそうかどうかは異論のあることと思いますが、俳優などは、衰え行く姿をさらすこともまた、重要な役割なのではないかと思います。 身近なところでは、祖父母や両親が子や孫に衰え行く姿を見せることで、人は必ず死ぬこと、死に際しては...
文学

刑死の明日に、迫る夜温(ぬく)し

私が一貫して死刑制度廃止を願っていることは、このブログに何度も書きました。 なんとなれば、この世に生きとし生ける者は、死から逃れる術を持たず、すべての生き物が死刑囚とも言え、いずれ来る死を早めることが刑罰になるとは思えないからです。 まして宅間守のように早期の死刑執行を望んでいる者を殺してしまうのは、本人の希望を叶えてやることになります。 それよりは、終身獄中に置いて、反省と贖罪を促すことが、刑罰として相応しいと思えてなりません。 死刑囚の中には、永山則夫のように、獄中で小説を書いて豊かな文学的才能を発揮した者もいます。無知の涙 (河出文庫)永山則夫河出書房新社 彼が日本ペンクラブに入会したいと言い出した時、ペンクラブは喧々諤々の騒ぎになり、結局入会を認めませんでしたね。 文学者の集まりと雖も社会を構成する団体である以上、犯罪者を入れることは出来ない、という意見と、文学は人間の恥部や悪をも描くものであり、犯罪者だからと言って入会を認めなければ、文学の死を意味するという意見が激しく対立したことを覚えています。 それはさておき。 死刑囚の歌人に、島秋人と言う人がいます。 強盗殺人の罪により...
文学

怠け者

昨日久しぶりに晴れたかと思えば、今日は早くも雨降り。 秋の長雨とは言いますが、いい加減にしてほしいものです。 今日は朝湯につかって朝飯を食った後は、テレビを観たり小説を読んだりしてのんびりと過ごしています。 昼は近所の蕎麦屋でとろろそばを食しました。 その後しばし昼寝して、少しだけ、明日のプレゼンの資料を読み返したりしました。 怠け者の私が日曜日にわずかとは言え仕事の資料に目を通すとは。 明日は西からお日様が昇るかもしれません。 なまけもの なまけてあれば こおひいの ゆるきゆげさへも たへがたきかな 北原白秋の短歌です。 全編平仮名、珈琲さえも平仮名。 読みにくいったら無いですが、いかにも怠け者な感じは漂います。北原白秋歌集 (岩波文庫)高野 公彦岩波書店 私の夢は専業主夫になって、家事さえも手を抜いて怠け者の暮らしをおくることですが、私と同居人と共働きだからこそ、どうにか経済的にやっていけているのも事実で、同居人1人の稼ぎでは、あっという間に貧窮することは目に見えています。 まぁ、夢なんて、叶えるものではなく、ただひたすら憧れているから楽しいのかもしれませんねぇ。
散歩・旅行

メランコリー、ロサ会館

じつに久しぶりの晴れた週末に恵まれました。 休日恒例の朝湯につかった後、散歩に出かけました。 どこに行こうかなと思案して、先般仕事で訪れた目白の町並みが面白そうだと考えて、首都高速を護国寺インター目指して走り出しました。 千葉市の自宅から車を走らせること50分、目白駅近くの時間貸し駐車場に車を停めました。 目白には徳川黎明会なる西洋のお城のような建物があり、びっくり。 持参のiPad miniで調べたところ、名古屋で徳川美術館などを運営する旧尾張徳川家が運営する財団の総務担当部署が入っている建物だそうです。 なるほど、立派なわけです。 軽井沢の別荘地のような緑豊かで豪邸が立ち並ぶ一角を抜け、しばしぶらぶら。 目白庭園という小さな日本庭園が無料で解放されていました。 小さいながら滝や池があり、錦鯉が泳いでいて、都内であることを忘れさせてくれます。 ガストで昼食をとってから、なんとなく、池袋方面へと歩き出しました。 ほどなく、立教大学に到着。 近頃の私学がそうであるように、立派なタワービルが建っています。 私が知る立教大学とはおよそ異なる風情でした。 立教通りを抜けると、池袋西口の繁華街に...
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