2016-03-08

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その他

望郷

東京の東の外れで生まれ育った私。 就職に際し、東京の満員電車に揺られるのがどうしても嫌で、お隣の千葉県に就職し、千葉市に住まいしてもう20年以上が経とうとしています。 私は千葉市の程よい都会ぶりと田舎ぶりが気に入り、ここで生きていこうと思っていました。 しかし定年まで残り14年となり、定年後、東京に舞い戻るのも悪くないかと思うようになりました。 私は土いじりなど出来ませんし、山登りや海のレジャーも好みません。 どちらかというと美術館に出かけたり芝居を観たりするのを好みます。 そうすると、自然と、東京が有利になります。 東京暮らしが嫌で東京脱出したのに、矛盾しています。 人は生まれる土地を選べませんが、大人になれば住む土地は選べます。 私は今の千葉市のマンションを気に入っていますが、年をくえば故郷に住みたくなるかもしれません。 よく、東京の人は故郷が無くて可哀想だ、という言説を耳にします。 冗談言っちゃいけません。  東京だって、立派な故郷です。 小川が無かろうと、山が無かろうと、アスファルトに囲まれ、虫の声すらしない東京に郷愁を覚える人間が確かに存在するのです。 十数年後、私が故郷回帰...
文学

無理

奥田英朗の長編「無理」を読み終わりました。 この作者お得意の、いくつかのストーリーが同時並行的に描かれ、ラストに到ってそれらが結びつく、というお話です。無理〈上〉 (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋無理〈下〉 (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋 町村合併によってできた地方都市、ゆめの市。 田舎町の退屈さにうんざりしながらも、そこでしか生きられない5人が描かれます。 東京の大学に進学し、田舎町からの脱出を夢見る女子高生。 田舎町のしがらみのなかで生きる市議会議員。 元暴走族で、今は詐欺まがいの訪問販売を生業とする青年。 新興宗教にはまる、スーパー保安員の中年女。 県庁から市役所に出向になり、勤務時間中に外回りと称して人妻専門の風俗にはまる公務員。 これらの人々が、様々な無理目な事情を抱え、奮闘しつつ堕ちていく物語になっています。  読ませる力は十分にあるのですが、この作者にしては人物の作りこみや物語の魅力に、やや物足りなさを感じます。 それは東北の架空の田舎町を舞台にしているからだけではないでしょう。 もっとどうしようもなく堕ちていく群像劇に仕立てることができれば、一皮むけた作品になっただろうに...
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