2016-03

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文学

助走か、飲んだくれのオヤジか

年度末が近付いて、誰が異動するのしないのと、職場はそんな噂が飛び交っています。 どうせほどなく分かるし、どんな嫌な部署に異動になっても、また、どんな嫌なやつが自分の部署に着任しても、ただ淡々と仕事をこなすしかないのに。 時間の無駄です。  こんなことを繰り返してとうとう24年も過ぎてしまいました。 就職してしばらくは、プロの小説家を目指してせっせと小説を書いていましたっけ。 しかし専業作家で生きていけるのはそれこそ何万分の一という確率でしょう。 これはどうにもならんと、いつの頃からか、終業後は飲んだくれるだけのやさぐれオヤジに堕してしまいました。 それは精神の堕落には違いないのでしょうが、堕ちるということ、変に心地よくもあります。 世間的にみれば、安定した公的機関に勤めて、子供は出来ませんでしたが結婚もして、マンションも買ってと、順風満帆に見えるでしょうね。 でも精神的には、未だにモラトリアム気分を引きずって、自分が何者でもないように感じています。 それはおそらく一生続くでしょう。 筒井康隆の小説に、「大いなる助走」というのがありました。 直木賞(作中では直本賞でしたか)受賞を逃した若...
その他

望郷

東京の東の外れで生まれ育った私。 就職に際し、東京の満員電車に揺られるのがどうしても嫌で、お隣の千葉県に就職し、千葉市に住まいしてもう20年以上が経とうとしています。 私は千葉市の程よい都会ぶりと田舎ぶりが気に入り、ここで生きていこうと思っていました。 しかし定年まで残り14年となり、定年後、東京に舞い戻るのも悪くないかと思うようになりました。 私は土いじりなど出来ませんし、山登りや海のレジャーも好みません。 どちらかというと美術館に出かけたり芝居を観たりするのを好みます。 そうすると、自然と、東京が有利になります。 東京暮らしが嫌で東京脱出したのに、矛盾しています。 人は生まれる土地を選べませんが、大人になれば住む土地は選べます。 私は今の千葉市のマンションを気に入っていますが、年をくえば故郷に住みたくなるかもしれません。 よく、東京の人は故郷が無くて可哀想だ、という言説を耳にします。 冗談言っちゃいけません。  東京だって、立派な故郷です。 小川が無かろうと、山が無かろうと、アスファルトに囲まれ、虫の声すらしない東京に郷愁を覚える人間が確かに存在するのです。 十数年後、私が故郷回帰...
文学

無理

奥田英朗の長編「無理」を読み終わりました。 この作者お得意の、いくつかのストーリーが同時並行的に描かれ、ラストに到ってそれらが結びつく、というお話です。無理〈上〉 (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋無理〈下〉 (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋 町村合併によってできた地方都市、ゆめの市。 田舎町の退屈さにうんざりしながらも、そこでしか生きられない5人が描かれます。 東京の大学に進学し、田舎町からの脱出を夢見る女子高生。 田舎町のしがらみのなかで生きる市議会議員。 元暴走族で、今は詐欺まがいの訪問販売を生業とする青年。 新興宗教にはまる、スーパー保安員の中年女。 県庁から市役所に出向になり、勤務時間中に外回りと称して人妻専門の風俗にはまる公務員。 これらの人々が、様々な無理目な事情を抱え、奮闘しつつ堕ちていく物語になっています。  読ませる力は十分にあるのですが、この作者にしては人物の作りこみや物語の魅力に、やや物足りなさを感じます。 それは東北の架空の田舎町を舞台にしているからだけではないでしょう。 もっとどうしようもなく堕ちていく群像劇に仕立てることができれば、一皮むけた作品になっただろうに...
映画

パージ

昨夜はひどく暴力的な映画をDVDで鑑賞しました。 「パージ」です。 近未来の米国。 犯罪の抑止のためと称して、年に一晩だけ、12時間、殺人を含むあらゆる犯罪を合法とする法律が施行されます。 この夜、人々は己の獣性をむき出しにして、残虐行為にふけるのです。 この映画では、完璧なセキュリティシステムを完備した豪邸の一家が、各地で行われる残虐行為を横目に、優雅な夜を楽しもうとするところから始まります。 ところが18歳の娘の交際相手が昼間のうちから豪邸に忍び込み、パージの始まりを告げるサイレンの音を合図に、交際に反対する父親を撃ち殺そうと試みます。 しかし護身用に銃を携帯していた父親が、逆に交際相手を撃ち殺してしまいます。  さらにはお金持ちの若者の集団が黒人のホームレスを追い詰め、黒人が助けを求め、見ていられなくなった中学生とおぼしき長男がホームレスを豪邸に入れてしまったところから、一家に深刻な悲劇が訪れます。 若者の集団が完璧だったはずのセキュリティシステムを破壊し、殺戮を開始するのです。 銃、ショットガン、機関銃、斧、などなどで家族と若者の集団が戦いを開始するのです。 この手の、殺人をあ...
映画

ジェサベル

朝っぱらからDVDでホラー映画を堪能しました。 「ジェサベル」です。 これはなかなかの掘り出し物でした。 同棲を始めようという日に、彼が自動車事故で亡くなり、自身も車椅子の生活を余儀なくされることになったジェシー。 仕方なく、田舎に戻り、父親と二人で暮らし始めます。 母親はとうの昔に亡くなっています。 妊娠中の母親がまだ見ぬわが子に送ったビデオレターを発見。 そこから不可思議な現象が起き始めます。 悪夢を見続け、悪夢にはゾンビのような黒人の若い女が登場します。 そして近所の沼地でジェシーの誕生日が刻印された墓石を発見。 男友達に掘り返してもらい、DNA鑑定を。 ジェシーはてっきり死産した双子がいるものと想像しますが、なんと結果は黒人の女児で、しかも首の骨を折られて殺害されていたことが判明。 謎は深まるばかりです。 雰囲気満点の、沼地に建つ田舎の古い家、謎めいたビデオレター、ブードゥーの儀式、父親の不可解な態度。 じつに気分が盛り上がります。 そして、明かされる秘密。 よく出来たホラーで、震え上がりました。 コアなホラーファンである私を満足させる快作です。ジェサベル *セルDVD洋画エイ...
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