文学 ひなた
今日はひどい風が吹き荒れています。 買い物に行った以外は、家で大人しく小説を読んですごしました。 吉田修一の「ひなた」を一気に読みました。 この作者、平凡な日常のなかのゆがみを描くことが得意なようです。 「ひなた」は、4人の春夏秋冬を、それぞれの独り語りを積み重ねる形で紡ぎだしていく、という手法で描かれています。 これといった盛り上がりのない、平凡な日常のなかに、小さな嘘や不安が丁寧に描かれています。 大学生の尚純とその彼女のレイ、直純の兄夫婦の4人です。 平凡なようでありながら、じつは4人とも、不倫であったり、出生の秘密であったり、同性からの求愛であったりといった、小さな日陰を抱えています。 日陰を抱えているからこそ、日向を求め、日向を守ろうとするのです。 そしてまた、台詞がじつに上手です。 まるで脚本を読んでいるかのような錯覚におそわれ、さらには私の中で配役を考えてしまうほど、演劇的でもあります。 身近な人の不倫を評して、 誰かを裏切りたくて、誰かを好きになるヤツなんていないんだし、誰かを好きになっちまうから、仕方なく誰かを裏切らなきゃならなくなるんだよな。残酷な話だけどさ。 など...