2016-05-22

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文学

わたしを離さないで

昨日は一日かけて、日本生まれの英国人作家、カズオ・イシグロの長編「わたしを離さないで」を一気に読了しました。 読み始めたら、I can’t stop という感じで、引き込まれました。 ヘールシャムという特別な施設で育った女性、キャシーの独白という形式で、物語は進んでいきます。 ヘールシャムというのはいかなる施設なのか、最初は分かりません。 そこで保護官と呼ばれるどこかぎこちない態度の教師たちに、もっぱら絵画や詩の製作を教わる生徒たち。 彼らの将来は、すでに決まっています。 それは介護人と呼ばれる仕事に就き、その後は提供者と呼ばれる存在になること。 ネタバレになってしまいますが、ミステリーではないので良いでしょう。 ヘールシャムとは、臓器提供のために生み出されたクローン人間の教育施設なのです。 クローン人間とはいえ、そこは人間。 嫉妬や妬み、恋愛、人間関係の悩みなど、当たり前の人間の感情が、精緻に、しかも抑えた筆致で淡々とつづられます。 提供者などになりたくない、普通に働きたい、という切実な悩みが描かれたり、真に愛しあっているカップルは、それが真の愛だと証明されれば、提供を猶予される、な...
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