思想・学問 嘘八百、あるいは芝居
平凡な毎日をおくるなかでは、ひどい悪や、素晴らしい美を経験することはほとんどありません。 日常生活が退屈な所以と言えるでしょう。 日々を平凡に生きていると、素晴らしい美的体験や、逆に反吐が出るほどひどい悪に巡り合いたいという極端な欲求を持つことがあります。 それが、グロテスクなホラー映画や、美的な芸術を鑑賞したいという欲求に繋がるのでしょう。 たびたび指摘したことですが、私は、真実は嘘八百の中にしか存在し得ない、という予感を強く持っています。 自然科学はこの世の在り様を解明することはできても、在り様の真実を突き止めることは出来ません。 人文科学にいたっては、ほとんど思考の遊びに堕しています。 私が学問を信じない所以のものです。 文学作品などの芸術の分野は、端から真実の探求を捨て去り、おのれの直感や霊感の命ずるままに、美しいと思うもの、あるいはある見方を提示する作品を生み出していると言えるでしょう。 逆説的ですが、真実の探求を捨て去ったからこそ、真実に近づくことが出来るのだろうと思います。 私の精神性は、そういった嘘八百の世界に強いシンパシーを感じるように出来ているようで、そのためか現実...