文学 名月
今宵は中秋の名月。 首都圏では、きれいなお月様が拝めそうです。 ススキや団子を用意する暇はありませんが、自宅のベランダから、月見酒としゃれこみたいと思います。 名月や 池をめぐりて 夜もすがら 松尾芭蕉の句です。 月を見ながら池のほとりを散策していたら、夜が明けてしまった、という意でしょうか。 だとしたら、月の美しさをひたすら称揚する、耽美的かつ、昂揚感が感じられる句ですね。 芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)雲英 末雄,佐藤 勝明KADOKAWA / 角川学芸出版 一方、同じ松尾芭蕉に、 俤(おもかげ)や 姥ひとり泣く 月の夜 という句もあります。 一人月を眺めていたら、すぐ近くに、月を眺めながら泣いている老婆がいた、ということで、前の句とはだいぶ趣が異なります。 月の美しさのみならず、月の儚さ、さらには人の生というものが持つ根源的な儚さを感じさせ、胸に迫ります。 私が今宵、月を観てどんな感慨にふけるのかは分かりません。 ただ、来し方を振り返ることはせず、今日のことと明日のことのみ考えたいと思います。 今日と明日のことだけを考えて暮らす生活。 それこそが、精神障害の完全...