美術 仏像が芸術になった時
今日において、仏像や仏画、仏教建築などが、美術作品であることに異論をはさむ人はほとんどいないでしょう。 しかし、それらが制作され、人々の信仰の対象のみであった時代においては、美術作品という認識は薄かった、もしくは皆無であったのではなかろうかと推量します。 もっといえば、美術とか芸術とかいうものは、明治以降、西洋の思想を取り入れた時に生まれた概念で、それまでのわが国には、そもそも絵や彫刻は存在したにしても、それらを総称して美術とか芸術とかいう意識は無かったんじゃないかと思います。 それらはあくまで、絵であり、彫物であり、音曲であり、物語であり、戯作であったことでしょう。 明治初期、わが国で芸術や美術ということを強烈に印象付けたのは、浮世絵が西洋に与えた強い影響だったのではないかと思います。 わが国においては、浮世絵はそれほど重要なものではありませんでした。 しかし、西洋でジャポニスム運動が起こることで、改めて浮世絵が見直され、同時に、美術や芸術が優れていることは、国威発揚にまでつながることを実感したものと思います。 で、仏教美術などの宗教的芸術。 明治4年に布告された古器旧物保存方では、...