2017-12-08

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社会・政治

日本必敗

今日は12月8日。 終戦の日の8月15日のように騒がれることはありませんが、忘れてはならない日です。 太平洋戦争開戦の日。 降伏を決めるよりも、開戦を決意するほうが重いような気がします。 開戦を間近にひかえ、総力戦研究所という機関が立ち上げられ、中堅どころの役人や軍人、民間人などが、模擬内閣を作って机上演習を行っています。 その報告書は驚くべきものです。 開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、その後の推移は長期戦必至であり、その負担に日本の国力は耐えられない。戦争終末期にはソ連の参戦もあり、敗北は避けられない。ゆえに戦争は不可能、という「日本必敗」、でした。 これは、ほぼ実際の戦争の推移を言い当てています。 気持ち悪いほど正確な未来予測です。 さすがに原爆の投下までは予測していませんが。 これに対し、東条英機は、机上演習に過ぎず、実際の戦争はそういうものではない、事実、誰が日露戦争の勝利を予想し得たか、と、一蹴し、この結果を口外してはならない、と釘を刺しています。 すでに過去を知っている現在の目から見れば、恐るべき正確さと冷静さで導き出された報告だということが分かりますが、報告書が出された...
文学

土の中の子供

昨夜は中村文則の「土の中の子供」という小説を読みました。土の中の子供 (新潮文庫)中村 文則新潮社 芥川賞受賞作で、その後は大活躍している作家ですが、読むのは初めてです。 主人公である「私」と暴力をめぐる物語ですが、近代以降の、わが国の、いわゆる「純文学」の悪い伝統を引きずっているように感じました。 「私」が、延々と暗くて絶望的な物語を語る、と言う。 「私」は子供の頃親に捨てられ、遠戚の夫婦に引き取られますが、激しい虐待にあい、そのことが「私」の精神をゆがませています。 山中に埋められる、という生きるか死ぬかの経験まで積んでいます。 その後施設に引き取られ、遠戚の夫婦は逮捕されてしまいます。 陰鬱で悲惨な一人語りが続きます。 正直、共感できません。 しかし、読み進むうち、これは再生と希望を描こうとしているのではないか、と気づかされます。 20代の「私」はタクシードライバーとして生計を立てていますが、暴走族を挑発してボコボコにされるなど、やたらと恐怖体験を求めます。 不思議なことに、そこに、一種の希望が見えてきます。 私が望んでいたのは、克服だったのではないだろうか。自分に根付いていた恐...
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