2017-12-27

スポンサーリンク
文学

不道徳ゆえに価値が上がる?

かつてナチは、多くの近代美術作品を押収し、ドイツ全土を巡回して退廃芸術展を開催しました。 これは、表現主義、抽象絵画、新即物主義、ダダイズム、シュルレアリスムなど、20世紀美術の主要な動向にかかわる作品群を、退廃芸術として弾圧し、晒し者にすることを目的としたものです。 この展覧会は多くの観客を集め、現代にいたるも、これ以上の観客数を誇った展覧会は、ドイツでは開催されていません。 しかしおそらく、多くの観客は、退廃だ、唾棄すべきものだと口にしながら、じつはその美に酔っていたのではないかと推測します。 何もナチが政権を取ったからと言って、ドイツ人の多くが近代絵画を嫌ったわけではありますまい。 芸術と倫理をめぐる考え方は、様々なものがあり、ナチのように単純化することは出来ません。 美的判断と倫理的判断とが同じ芸術作品に適用されると、ややこしいことになります。 美的だけど倫理的じゃない、あるいはその逆、なんていうことは、芸術作品には非常に多く見られる現象です。 代表的な考え方に、自律主義と道徳主義と言われる立場があります。 自律主義は、作品に不道徳な面があったとしても、美的価値には一切影響しな...
映画

ザ・ギフト

昨夜はサイコ・スリラー仕立ての、じつは人間ドラマを鑑賞しました。 「ザ・ギフト」です。 ザ・ギフトジェイソン・ベイトマン,レベッカ・ホールバップ ザ・ギフトジェイソン・ベイトマン,レベッカ・ホールバップ 夫の転職に伴い、夫婦で夫の地元に引っ越したサイモンとロビン。 家具屋で、偶然サイモンの高校時代の友人と称するゴードと出会います。 ゴードはサイモンとの再会を喜びますが、サイモンはゴードと会っても、すぐには思い出せません。 やがて、ゴードから、様々なプレゼントが贈られるようになります。 ネタバレになりますが、かつてゴードはサイモンにいじめられており、贈り物の連続はサイコっぽい恐怖を醸し出します。 最初はゴードが気味悪いやつに見えますが、サイモンの過去の悪、現在の会社で出世するための小ずるい手法などが暴かれ、サイモンも相当なやつだと気付かされます。 サイモンの真の姿を知り、ロビンは夫に不信感を抱くようになります。 そして、壊れていく夫婦関係。 サイコ・スリラー風の味わいで始まりますが、人間の本性を問う、人間ドラマの様相を呈してきます。 派手な演出はありませんが、人間の怖ろしさがじわじわと胸...
スポンサーリンク