思想・学問 無力感という悪
私は生まれてこの方、お金持ちになったことはありませんが、さりとて、お金で苦労した、ということもありません。 生活には困らないだけの収入は常にありました。 しかし、テレビのドキュメンタリーなどを見ていると、現代でも、世界にはまともに三食食べられない人々が大勢いることを知らされ、愕然とします。 食べられない、ということは誠に苦しいことでしょう。 また、食べられない、というほどではないにしても、私の大学の同級生で、北海道から上京して、奨学生として新聞配達をしながら学んでいる者がいました。 入学当初は向学心に燃えていることが傍から見ても分かるほどでしたが、しだいに講義中は寝てばかりいるようになり、いつの間にか退学してしまいました。 その後どうしているのか知りません。 貧しいということは、ほとんど悪と言っても良いでしょう。 与えられたパンを奪い合い、粉々にして無駄にしてしまう貧しい子供の姿から、ボードレールは、パンを分け合うことすらしない(できない)、人間の獣性こそが悪であるとみなしました。 アフリカなどで、援助物資を積んだトラックが、停止せずに、ゆっくり走りながら援助物資を投げ与える光景を目...