
本当
昨夜、寝付けず、何をするというわけでもなく、徹夜してしまいました。 白々と夜が明けて、仕方がない、顔を洗って髭を剃るかと鏡をみたら、そこには、世にも美しい、天使と見まごうばかりの美少年が映っていました。 目を固くつぶって頭を振り、そっと目を開けると、そこには、世にも醜い怪物のような中年男が映っていました。 深く、ため息をつきました。 もちろん、後者が今の私。 前者は、40年も前の私でしょうか。 あるいはそうであってほしかった少年の私。 天使のような美少年も怪物も、いずれもこの世には存在しない、あるいは存在してはいけない魔性の化け物なのかもしれません。 私はこれまで、たとえ精神病を発症しても、社会規範から一歩もそれることなく、まっとうに生きてきたと思っています。 それなのに、私は私が怖いのです。 私はかつて、父親譲りの気高さとか誇りとかいったものを、誰よりも強く持っていると思っていました。 しかしそれは妖かしに過ぎなかったようです。 私は気高くもなければ誇り高くもなかったのです。 まっとうに生きれば生きるほど、私は私のつま先から頭まで、すべてが怖ろしい、唾棄すべき、邪悪な存在であると...