2024-02-28

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文学

化物園

昨夜は恒川光太郎の連作短編集「化物園」を読みました。 7つの短編が収められています。 一つ一つの作品は独立した物語ですが、同じ化物が登場することによって、連作と見做すことができます。 同じ化物とは言っても、猫だったり蛇だったり、果ては顔が無く、数センチ浮いているものだったり、見た目は様々ですが、それらは同じ物です。 この短編集の圧巻は、最後に掲載されている「音楽の子供たち」の迫力でしょうね。化物園恒川光太郎中央公論新社 「音楽の子供たち」によって、それまでは明かされなかった化物に関することが分かります。 化物は人間が誕生するはるか以前から存在する物であって、その姿は変幻自在であり、かつては人間を喰らうこともあったことが示唆されます。 その後異形の化物は人間世界の片隅で息をひそめ、長く、人間との関係を保ってきました。 人間によって化物はどう変わるのか、また、化物によって人間はどのような影響を受けるのか、それらがぼんやりと描かれます。 人間と化物との距離感が良い感じです。 この作者ならではの、どこか寂しさを感じさせる、メランコリーとでも言うべき雰囲気が漂っていて、良い連作短編集であったと思...
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