
ハサミ男
三日ほどかけて、ミステリの傑作と呼ばれる「ハサミ男」を昨夜読み終わりました。 以前、もう15年ほど前に映画版を観たことがあるのですが、その時の印象はまぁまぁ面白かったかな、という程度のものでした。 改めて原作を読んでみて、物語の重層性やミステリでありながら高い文学性を持った文章に深い感銘を受けました。 タイトルは陳腐と言ってもよいくらいですが、中身はまったく違います。 先日本屋を訪れた際、帯に、「古典にして大傑作! えっまだ読んだことが無い!?」という煽情的な言葉が並び、つい、買ってしまいました。 結果、大当たりだったというわけです。ハサミ男 (講談社文庫)殊能将之講談社ハサミ男 豊川悦司/麻生久美子東宝 女子高生を絞殺し、その後喉にハサミを突き立てる、という殺人が2件発生。 警察の捜査も虚しく3人目の犠牲者が出てしまいます。 警察は当然同一犯の犯行と見て捜査を始めますが、どこか奇妙です。 3人目の殺害現場には喉に突き立てたハサミと同じ物がもう一つ落ちていたり、ハサミの先を鋭角に研磨していたのが、荒かったり。 そして3人に共通しているのが、全く性的暴行の跡が見られないことです。 この物...