2024-05

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文学

イノセント・デイズ

昨日はどこに出かけるでもなく、読書をして過ごしました。 読んだのは「イノセント・デイズ」という小説です。イノセント・デイズ(新潮文庫)早見和真新潮社 早見和真という作家の本です。 この人の小説を読むのは初めてです。 書店で見て、興味を持ちました。 ミステリー、ということになるんでしょうか。 私には文芸作品のように感じられました。  30歳の確定死刑囚の女が処刑される日から物語は始まります。 その後に死刑囚の生い立ちや性格、生まれ育った環境等が友人や恋人らの視線から語られます。 とりわけ小学生時代の仲良しグループで、秘密基地で遊んだ男の子が長じて弁護士になっており、弁護士は女囚に再審請求を勧めますが、拒否されます。 女囚は死刑を怖れてはいません。 それどころか、早期の執行を望んでさえいます。 女囚は短い生涯のなかで、必要とされること、愛されることに飢えてきました。 そういうことがほとんど無かったのです。 太宰治の「人間失格」ではありませんが、生まれてきてごめんなさい、というセリフまで飛びだします。人間失格 (新潮文庫)人間失格【新潮文庫】 (新潮文庫 (た-2-5)) 治, 太宰治, 太...
文学

横道世之介

昨夜は吉田修一の長編「横道世之介」を読みました。 平易な読みやすい文章と、テンポ良く転がる物語の世界に引き込まれ、文庫本で470頁強の小説を、少々夜更かしして最後まで読んでしまいました。 青春小説ということになるんでしょうね。 主人公の横道世之介はバブル全盛期に長崎県の片田舎から大学進学のため上京します。 時に18歳。 大学名は明記されませんが、武道館で入学式をやったとか、武道館から歩いて大学に戻るとかいった描写があり、法政大学で間違いないと思います。 作者のプロフィールを見ると長崎県出身で法政大学卒業とありますから、かなりデフォルメしてあるにせよ、作者自身がモデルになっているものと思われます。 18歳から19歳の、大学一年生の1年間が月ごとに章立てされ、描かれます。 バイトやサークル、恋に友情等、青春小説のエキスとでも言うべきものがたっぷりと盛られ、飽きさせません。 バブル全盛期に大学生活を送ったのは私と同じ。 作者の年齢が55歳、私が54歳ですから、あの狂乱の時代をともに大学生として生きていたわけです。 嫌でも親近感がわくというものです。 時折横道世之介をめぐる人々、友人だったり恋...
仕事

しがみつく

今日は小雨が降ったりやんだり。 一週間分の食料の買い出しに行ったのと、近所のイタリア料理店に昼飯を食いに行った以外は、自室で読書をしたりユー・チューブを観たりしてのんびり過ごしました。 明日からの長い長い5日間の仕事のことを思うと憂鬱になりますが、日曜日の夕方はいつもそうです。 それは何も就職してからのことだけではなく、3歳で幼稚園に通い始めた頃からずうっと続いています。 今年55歳になりますから、もう52年も憂鬱な日曜日の夕方を過ごしていることになります。 大学生までは教育を受ける期間ですから仕方が無いにしても、職業は自分で選べるのに、堅い小役人になってしまいました。 今さら転職したところで、給料が半分に減るだけでしょう。 現在の職にしがみつくしかありません。 浮世は憂き世とはよく言ったものです。
その他

週末

今日は朝一番で内科に行ってきました。 4か月に一度の血液検査の採血のためです。 朝飯を抜いたせいでひどく腹が減りました。 昼はあっさり塩ラーメン。 最近近所にできたあっさり塩とあっさり醤油の2種類だけのお店で、出汁が効いていてなかなかいけます。 午後、12型のレッツ・ノートが届きました。 自宅ではごっついHPのデスクトップを使っていますが、携帯用に購入しました。 以前使っていた物が10年近く経ち、動作が遅くなってストレスでしたので、やむを得ず買い換えました。 レッツ・ノート、ノートパソコンでは最強の性能を誇り、値段も他の機種の倍以上しますが、頑丈で長持ちするので購入したしだいです。 初期設定を済ませてJ:comのwifiに繋ぎ、いつでも使えるようにしました。 これで旅行先からでもブログの更新ができるし、職場で支給されているノートパソコン(こちらも最新型のレッツ・ノートです)を申請無しで持ち運ぶわけにはいきませんから。 その後本屋で本を三冊購入。 1冊は嵐山光三郎の老いに関するエッセイ、1冊は吉田修一の青春小説、1冊は初めて読む作家の女死刑囚をめぐる小説です。 本屋に行くと、なるべく初め...
文学

夜想曲集

昨夜はカズオ・イシグロの短編集「夜想曲集」を読みました。 この作者の短編集は初めて読みました。 というか、私の知るかぎり、短編集はこれ1冊だけだと思います。夜想曲集 (ハヤカワepi文庫)カズオ・イシグロ早川書房 いずれも音楽家が主人公になっています。 酒場で演奏する売れないバンドからかつてスターであった老歌手まで、さまざまです。 この短編集の刮目すべき点は、ユーモアが前面に出されているところです。 しかしそのユーモアは、人生というものへの辛辣さが隠されていて、そこが深い味わいものになっています。 エンターテイメントのようでいて、文学になっている、素敵な短編集でした。
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