2024-07

スポンサーリンク
精神障害

ドグマチール

昨日は4週間に一度の精神科通院日でした。 最近仕事が増えて落ち込み気味で、今も多くの精神病薬を飲んでいますが、もうずいぶん前、初めて精神科で処方され、救われたと感じたドグマチールを処方してほしいと主治医にお願いし、処方してもらいました。 思えば今までたくさんの薬を試してきました。 合う物もあり、水を飲んでいるかのように効かない薬もありました。 精神病の薬というのは飲んでみなければ効果があるかどうか分からないようなところがあります。 内科の薬、例えば解熱剤などは、誰が飲んでも効くと思いますが、精神というもの、まだ得体が知れず、脳の一部に作用して薬効を得るわけですが、これがじつに難しい。 解熱剤の例でいえば、熱を測ればその効果はすぐに分かりますが、精神科の薬はあくまで患者がどう感じたかに依るところが大きく、脳内を検査して効いているはずだと推測は出来ても、患者が効果を実感できなければ意味がありません。 そういう意味では、ドグマチールは私にとってお守りみたいな物です。 ただこの薬、承認されたのが1973年と古く、その後多くの新薬が開発されたため、最近はあまり使われなくなりました。 効いてくれる...
文学

私が先生を殺した

今夜はミステリーを読みました。 テンポが良くて物語が疾走する快感に心奪われ、400頁を一気読みしてしまいました。 読んだのは「私が先生を殺した」です。私が先生を殺した (小学館文庫)桜井美奈小学館 物語の冒頭、ある私立高校の避難訓練で校庭に全校生徒が集まる中、27歳の人気教師が屋上から飛び降り自殺します。 一体何があったのか。 物語は語り手が次々と変わり、それぞれの視点から事件に関する一部が語られます。 このあたり、湊かなえの「告白」との類似を感じさせます。告白 (双葉文庫)湊かなえ双葉社告白松たか子 語り手が変われば物語が多重的になっていくというのは、芥川龍之介の名作「藪の中」でよく示されています。藪の中・将軍 (角川文庫)芥川 龍之介KADOKAWA そのため、この手法は時折見かけますが、「私が先生を殺した」では、物語が多重的になるかと思いきや、最後の語り手である自殺した人気教師によって、怖ろしい真実と切ない自殺動機が語られ、一つに収斂していくという、エンターテイメントらしい分かりやすい結末が待っています。 久しぶりに平易で抜群に面白いエンターテイメントに接することが出来たのは私に...
文学

他人事

今日はあまりの暑さのせいで家から一歩も出ず、冷房を効かせた自宅で快適に過ごしました。 で、珍しく短編集というか、ショート・ショートを読みました。 平山夢明という作家の「他人事」です。他人事 (集英社文庫)平山夢明集英社 私はこの作家を知らなかったのですが、本屋で偶然見つけて面白そうだと思い、購入。 しばらく前までは本はほとんどネットで購入していたのですが、本屋では新鮮な出会いがあるので、よく大型書店に出かけるようになりました。 この短編集、322頁に14のショート・ショートが収められています。 どれも奇妙な味の、残酷で滑稽な物語たちです。 短編集というもの、短い話ばかりなので、つい、もう一つだけ、もう一つだけ、なんて思いながら一気読みしてしまうことがあります。 これがそうでした。 ホラーだったりSFだったり、ブラックユーモアだったり、どれも私にとってお好みの作品でした。 幸せな気分になりました。
文学

35年目のラブレター

昨夜は珍しくノンフィクションを読みました。 読んだのは「35年目のラブレター」です。35年目のラブレター小倉孝保講談社 山間部に建つ小さな小屋で炭焼きを営む西畑家。 そこの長男、西畑保の生涯に取材したもので、小説のような体裁を取っています。 小学校までは獣道みたいな未舗装の細い道を3時間も歩かなくてはなりません。 それでも同学年の友達が出来ることを楽しみに通い始めます。 しかし、草鞋履きで継接ぎだらけのボロを着た見るからに貧しい彼は、その貧しさゆえにイジメにあってしまいます。 しかも教師までが、彼を疎んじ、イジメを止めさせようとしません。 西畑少年は登校拒否になり、山間部にぽつんと建つ自宅で父親の仕事を手伝ったり、同じ山間部に住む年上の少年と唯一の友達になり、遊びまわったりします。 家庭では白飯を食うことなど出来ず、薄い粥ばかりで、いつもお腹を空かせています。 小学校もろくに通っていないのだから、当たり前ですが読み書きが出来ません。 それが西畑保を苦しめ続けることになります。 長じて町に出、食堂で下働きのようなことを始めますが、メモが取れないので注文を受けることが非常に困難です。。 出...
文学

吸血鬼

今日は読書をして過ごしました。 読んだのは佐藤亜紀の「吸血鬼」です。 吸血鬼とはいっても、ヴァンパイアが出てきて活躍するわけではありません。吸血鬼 (角川文庫)佐藤 亜紀KADOKAWA 1845年のポーランド。 その当時、ポーランドはオーストリア帝国の支配下にあります。 ポーランドの片田舎の村にオーストラリアの行政官が赴任します。 因習的で気味の悪い村です。 ここで続いて3件、不審死が起こります。 村民は動揺します。 村民の不安を鎮めるため、行政官は村に伝わる因習的な方法を採ることを決意。 それは棺を掘り起こし、遺体の首を切断するというもの。 行政官は当然そんな迷信を信じているわけではありません。 あくまで民心を安んじるための方便です。 時を同じくして、ポーランド全土でオーストリア帝国打倒のための反乱計画が密かに進められます。 この村の地主もこれに呼応するため、大量のライフルを調達して納屋の地下に隠します。 反乱と因習が結びついて、大きな事件を予感させます。  私はかつて、佐藤亜紀の小説を2冊だけ読んでいます。 日本の内乱を描いた「戦争の法」という作品がとにかく面白くて、続けて「バル...
スポンサーリンク