
夜行秘密
今日はとても魅力的な小説を読みました。 「夜行秘密」です。夜行秘密カツセマサヒコ双葉社 作りは、いわゆる群像劇になっています。 登場人物が次々と一人称で告白し、それがやがて一つの物語になっていく、という。 天才映像作家、その熱狂的なファンの女、MVを作ってもらうことになった新人アーティスト、新人アーティストの恋人、天才映像作家のマネージャーを務める美女など。 それらの人々がそれぞれの立場で告白し、それらが大きなうねりと小さな誤解とを生んで、悲劇的な物語へと昇華します。 物語の終わりが近づいて、もう新人ではなくなったバンドのヴォーカルが独白します。 おれが思い出すのは大抵、楽しかった記憶とかじゃなくて、後悔の記憶だ。あの時、ああしていれば良かったと、記憶を巻き戻してみては、選ばなかった方の人生を想像してしまう。どうしても輝いて見えるBルートを想像しては、そっちの未来を願ってしまう。 非常に印象的です。 おそらく、後悔の無い人生なんてあり得ないと思います。 あの時、こっちではなくてあっちを選んでいたら、と空想するのは誰にでもあることです。 私など、そんなことがあまりにも多くて、後悔と言われ...