
地球星人
かねて読み進めていた村田沙耶香の「地球星人」を読み終わりました。 この人の小説を読むのは「コンビニ人間」、「消滅世界」に続いて3冊目です。 「コンビニ人間」や「消滅世界」はジェンダーレスの世界を描いていて、それだけでも世の中の常識から反する、いわば反社会的な作品でした。 しかるに「地球星人」はそんな生半可な小説ではありません。 人間社会の全てを否定しているかのごとくなのです。地球星人(新潮文庫)村田沙耶香新潮社コンビニ人間 (文春文庫)村田 沙耶香文藝春秋消滅世界 (河出文庫)村田沙耶香河出書房新社 最初は世の中というものに違和感を持つ少年少女の淡い恋物語の様相で始まります。 その違和感はますます大きくなり、長じて、人間社会を工場と呼ぶにいたります。 勉強を頑張り労働する、女の子を頑張り生殖する、この二つが地球星の成り立ちであり、それは社会というより工場だというわけです。 それに順応して何の違和感もなく生きるのが地球星人であり、違和感を持つ者は異星人ととらえます。 そこでは価値観が錯綜し、逆転し、また反転します。 さらには殺人、人肉食までもが正当化されます。 それは彼らの合言葉、異星...