2025-05

その他

バブルの終わり

長い一週間の勤務を終え、金曜日の夜を迎えました。 一週間のなかで最も気分が落ち着く日です。 家でちびちびとウィスキーなどの度数の高い酒を割らずに舐めるように飲むのが楽しみです。 ビールやチューハイは腹が張るので苦手です。 就職したばかりの頃はバブルの終わりの頃で、金曜日に予定もなく家に帰るなんて人では無いような扱いでした。 花金なんて言って、夜の街に繰り出すのが正しい過ごし方とされていたように思います。 私はそういった風潮に反発を覚えながら、なんとなく流されて、先輩や同僚に付き合っていましたね。 時代の空気に抗うのは難しいものです。 今は逆に家でのんびり過ごすことも良しとされるようになりました。  良い時代になったと思います。 ただし、給料は上がらなくなりました。バブルという徒花、日本経済の絶頂期に現れた儚い花だったのかもしれません。
仕事

自信喪失

最近、仕事で自信を失っています。20代の頃は自信満々で、周りがみんな阿呆に見えたものです。事務職世界一を自認していました。精神障害発症後も、病気ゆえに能力が落ちているだけであって、自分が優秀であることに変わりは無いと思っていました。しかし50歳を過ぎてから、すっかり自信を失い、かつて阿呆に見えた同僚や先輩、後輩がみな自分よりも優秀に見えてきました。一つには情報革命があると思います。情報革命に付いていけない自分がいます。しかもそれは単なる道具に過ぎないのに、使いこなせないと若い者から馬鹿にされているような気がします。考えすぎなのかもしれません。
思想・学問

神秘主義

臨死体験をすると多かれ少なかれ死生観が変わると言います。  私の知り合いに、交通事故にあい、二か月も生死の境を彷徨よった者がいます。  幽体離脱を経験し、強烈な光の中お花畑を通り、三途の川にいたってご先祖様からまだ川を渡る時ではないと諭され、気付いたら病床で意識を取り戻したというのです。 典型的な臨死体験ですね。 あまり語る人はいませんが、バッド臨死体験というのもあるようです。 地獄に落とされそうになって戻ってくる悪夢のような経験で、これも死生観を変容させ、善人になるべく努力を始めるとか。 誰でも地獄には落ちたくないですから。 臨死体験をして生還した私の知り合い、神秘主義の哲学者になって、大学教授におさまってしまいました。 何が幸いするか分かりません。 およそアカデミズムの世界とはかけ離れた、アカシック・レコード(宇宙の全歴史を記した記憶媒体)は存在するのか、存在するとして、アクセスする方法はあるのか、とか、宇宙の成り立ちをルドルフ・シュタイナーの神秘主義思想に依って解明しようとか、宗教を問わず、神や仏の存在を証明しようとか、何が専門か分からない研究をしています。 つまらぬ事務仕事に明...
その他

ただの人

選ばれてあることの恍惚と不安、二つ我にあり。 ヴェルレーヌの言葉です。 太宰治が小説に引用して人々の知るところとなりました。 私はこの言葉に軽い嫉妬を覚えつつ、憧れも感じます。 恍惚と不安を感じるほどの自負とはどこから出てくるのでしょうね。 十で神童十五で才子二十過ぎればただの人ということわざがあります。 幼い頃、多くの子供が才能豊かに見えるのはよくあることです。 子供自身も、中二病というか、過剰な根拠の無い自信をもってまわりを馬鹿にしたりするものです。 私自身がそうでした。 私の場合、二十歳を過ぎてとうにただの人になっているのに、自分はひとかどの人物だと思い込んでいました。 愚かなことです。 精神障害を発症した36歳になってやっと、そんな自信は雲散霧消しました。  と言うか、ただの人ですら無くなり、精神障碍者になってしまったのだから、発病当初の悲嘆は、うつ状態であったことを差し引いても、ひどいものでした。 その後、良くなったり悪くなったりしながら、しかし螺旋階段を上がるように、快方に向かっていきました。 その時の私の目標は、平凡なただの人になること。 しかしそのただの人になることが当...
ドラマ

架空OL日記

ブルー・マンデーを迎えました。サラリーマンにとっても、学生にとっても一週間で最も憂鬱な日です。「架空OL日記」という映画化もされたドラマがあります。 バカリズムの脚本で、男ながらOLとして出演もしています。 某銀行におけるOLの日常が時に淡々と、時にエクセントリックに描かれます。 一話完結で、上司の悪口や他愛もない会話を楽しむOL達。 きっと現実のOLもこんな感じなんだろうと思わせて説得力が有ります。 その中で、駅から銀行に向かう二人のOLが月曜日について語り合います 「月曜日って憂鬱だよね」 「なんなら日曜日の夕方から憂鬱だよね」 「じゃあ、月曜日はお休みってことで」 「承知しました」 「でもそれだと火曜日憂鬱問題が発生するね」 「火曜日も休みということで」 こういった会話を繰り返し、ついには金曜日の午後だけ出勤ということで話がまとまります。 もちろん叶うはずが無い、勤め人の切ない願望です。 静かで特別なことは起こらない、しかし魅力的なドラマ。 人生もまた、そうなのかもしれません。 結婚や出産、親類縁者の死といった出来事があったとしても、それらは特別なことではなく、生きていれば多くの...