
御強(おこわ)
御強(おこわ)とは、狭義には赤飯、広義にはもち米を用いて炊いた飯全般を指す言葉ですね。 近頃ではあまり耳にしなくなりましたが、十年以上前に亡くなった大正生まれの祖母はたいそうおこわが好きで、必ずおこわという言葉を使い、赤飯なんて言いませんでした。 東京の東端で生まれ育った私は、自分が江戸っ子などと思われるのが恥ずかしくてたまらず、他人から「とびおさんは江戸っ子だね」なんて言われると、必ず、「いいえ、江戸っ子ではありません。江戸川っ子です」、なんて訂正せずにはいられない恥ずかしがりです。 ところが祖母は嫁ぎ先こそ都区内ではたいへんな田舎の江戸川区ですが、育ちはまさに江戸。 爽やかな江戸弁と気風の良さが見事でした。 最近知ったのですが、おこわという言葉、何ももち米を炊いた飯のことばかりを指すわけでは無かったそうです。 駄洒落みたいですが、大怖(おおこわ)を表す意味もあり、世の中の泥棒、殺人、そういった犯罪者を指す言葉でもあったそうです。 四、五両の おこわを息子 ゆふべ食い と言う川柳が、「誹風柳多留」に残っています。誹風柳多留 (新潮日本古典集成)呉陵軒 可有,宮田 正信新潮社現代語訳 ...