幸薄い
連休最終日は小説を読んだり散歩したり、ぶらぶら過ごしました。 連休明けというのは憂鬱なものですが、木金と2日通えばまた週末だと思えば、少しは気楽になります。 散歩の途中、ヒスパニック系の中年女が、路上の隅に座り込んでアイスクリームを食べながらぶつぶつ独り言をしゃべっていました。 スペイン語のように聞こえましたが、定かではありません。 薄汚れた、白というより茶色くなったTシャツを着て、眉間に皺をよせていました。 遠い異国で、どういういきさつでそうしているのか、私の頭にいくつもの小さな物語が去来しました。 どれも幸薄い女が辿ってきたであろう半生の物語です。 私にもまだ物語が浮かぶ力が残っていたのかと、我ながら驚きました。 しかし働きながらでは、それらを形にする力まではありません。 私もまた、幸薄い疲れた中年に過ぎないようです。