
もの狂い
すっかり春めいてきました。 春は、もの狂いの季節。 発情した猫の声もすさまじく、もうじき桜は狂ったように咲きみだれ、散りみだれます。 春の椿事とか称して、浮かれた愚か者が徘徊します。 猫と同様、人間も性欲高まる季節。私は精神病を発症してから、不能に堕していますが、それでも、人肌恋しい季節ではあります。 恋びとは 土龍(もぐら)のように 濡れている モダニズム俳句の代表的俳人、富澤赤黄男の句です。 恋人をもぐらに例えているのがおもしろいですね。 そして、どこか肉感的な感じがして、リアルな、どうかすると悪趣味な印象さえ受けます。しかしそれが、かえって春のもの狂いを連想させて、趣深いのでしょう。