
怨霊
先日、武満徹がテレビで言っていました。 「絵を描く人は見えないものを見ようとし、作曲する人は聴こえないものを聴こうとする」 現実の奥にあるものを見ようとするのが芸術です。 現実を分析する学問とは似て非なるものですね。 私は日々、ありえない事件や出会いを妄想し、書き留めたりしています。 宗教はどうでしょうか。 神仏を信じるということはこの世ならぬものを見ようとし、そこから正しい生き方を学ぶものであると思います。 高校生のころ、国語の教師が、 「平安時代には、本当に妖怪や怨霊がいたんです」 と言っていたのが印象に残ります。 もちろん、それらが実在した、という意味ではありません。 それらの存在が信じられ、実在として当時の人々が感じていた、というほどの意味でしょう。 子が親を殺し、親が子を殺し、無差別殺人や大量虐殺が行われる現代、妖怪や怨霊が実在すると考えたほうが、人を倫理的にするのではないかと思ってしまいます。