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思想・学問

解釈

日本国憲法の解釈を変更し、集団的自衛権を行使できるようにしよう、というニュースを見ました。これはまずいな、と思います。必要なら、憲法を改めるべきで、解釈をころころ変えるものではありません。そうでなければ、日本は法が支配する国ではなく、解釈が支配する国ということになります。極論すれば、どんな法律を作っても、時の権力者の解釈しだいで、なんでもあり、ということになってしまいます。 日本国憲法はいわゆる硬性憲法で、変更の手続きが極めて困難である、という欠陥を持っています。時代を半歩遅れてついて行く、というのが法律のあるべき姿ですから、改憲の際には、この欠陥も改めるべきでしょう。法を変えずに国が滅んだのでは、とんだ喜劇です。 日本国憲法については、戦後60年以上を経ても、神学論争のような不毛な議論が続いています。ここらですっきりさせたいものです。 日本は先の大戦で、幸いにも、本土決戦を回避しました。まだ理性が残っていたのですね。 しかし、村上龍は、「五分後の世界」で、本土決戦を決行し、その後地下に潜って戦い続けた場合の日本を描いています。ある雑誌で、この作家は多大な犠牲を出しても、本土決戦を行っ...
仕事

最近は、仕事を終えて帰宅してもまだ明るいのがうれしいです。事務室の窓からも、明るい日が勤務時間の最初から最後まで降り注いでいます。帰路の車中も、良い気分です。 昔から、我がくにびとがお日様を崇めてきたのも、いかにも、と感じます。 今、仕事を終えてそろそろ帰ろうとしています。平成16年に精神病を発症して以来、もっとも穏やかで幸せな毎日を過ごしています。 気楽な仕事とわずかの酒、それに、見ぬ人が残した書物など広げられれば、満足です。もう一生、創作などには手を染めますまい。精神が荒れてしまいますから。
文学

物狂い

季節はもう、春から初夏に向かっているようです。昨日は暑かったですね。 春といえば、春の珍事やら、変質者が出るやら、浮かれた物狂いの季節でもあります。私は、物狂いは春の終わり、初夏を直前にして現れるように思います。 いい年をしたアイドルが、全裸で騒いでいたなどというニュースは、まさにそれです。  「徒然草」第十九段に、 「ひときは心も浮きたつ物は、春のけしきにこそあめれ」とあります。昔から、春になると人は浮き立つのですね。 与謝蕪村に、 「公達に 狐化けたり 宵の春」 という句があります。 春の宵、貴人を見かけたが、あれは狐が化けているのだろう、といったところでしょうか。 なんとなく浪漫的で、幻想的な感じがして、物狂いの春にぴったりですね。 また、春は悠然としたイメージもあります。 同じ蕪村の句で、 「春雨の 中を流るる 大河かな」 というのもあります。 雨が降っても、そんなことには構わず、悠然と大河が流れている、という感じです。 私は東京の東端を流れる江戸川のほとりで生まれ育ちました。春の雨を見ると江戸川を思い浮かべます。 それは物狂いとは対照的な光景です。
思想・学問

境界線

イタリアの哲学者、ジョルジュ・アガンベンは、「境界線を疑え」と言っています。「われわれ」と「彼ら」と言ってもいいでしょう。 健常者と精神病者、日本人と朝鮮人、白人と有色人種。 共同体を維持するためには、「われわれ」という括りを設けて、「彼ら」を作り出さなければいけません。あるいは、「彼ら」が在るから「われわれ」が在る、と言ったほうが適切かもしれません。   どこの国でも、外国人の入国には一定の制限がありますし、社会的弱者や異質な ものに対する差別があります。   私自身、精神病を発症し、差別的発言を受けたことがあります。そのとき、私は「彼ら」にされていたわけです。   しかし、社会的存在である人間は、必ず、境界線を設けてしまいます。そうでなければ、集団は維持できません。愛国心とか、母校愛とかいったものも、まさに境界線です。 これに対処する方法はあるでしょうか。おそらく、根本的方法は皆無でしょう。   そもそも言語というもの自体が、境界線を引くためのものです。あれとこれを分けるためのものです。月と星のように。   アガンベンは、境界線を引くために与えられた言語しか存在しない以上、その言語...
精神障害

右折信号

今日の良いこと。 それを探せと、精神科医は言います。 毎日、寝る前に、今日の良いことを思え、と。 それは、花がきれいに咲いたでも、飯がうまかったでも、面白い小説を読んだでも。 今日うれしかったのは、右折が難しい交差点に、右折信号ができたことです。私は車で通勤していますので、運転には神経を使います。もっとも嫌だった交差点に、右折信号ができました。うれしい。 小さな幸せを大事にすること。 大したことがないのは嫌なこと、うれしいことは大したこと。 そうやって生きていけば、世の中は生きやすくなるでしょう。
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