予報では真冬なみの寒い日だったはずが、ずいぶん暖かい一日となりました。
出先で、ふと、白梅の咲く庭を見かけました。
携帯で撮ったのですが、われながらひどい写真です。
ぽかぽか陽気でした。
以前にもこのブログで紹介しましたが、白梅を観ると、
しら梅に 明くる夜ばかりと なりにけり
という与謝蕪村の辞世の句を思わずにはいられません。
いよいよという時、もう夜が明ければ白梅だけを観て死んでしまおうとも読めますが、私は、死後の世界を、白梅に明くる夜が永劫繰り返される理想郷として描いたものと捉えています。
今わの際に見事な美感を披露して、感嘆せざるを得ません。
先般亡くなった父は西行法師を偏愛し、もちろん、
ねがはくは 花のもとにて 春死なむ そのきさらぎの望月の頃
という、あまりにもゴージャスにわがくにびとの死生観や美感を詠った辞世を好んでいました。
しかし私にはこのあまりに直截で照れの無い感じが、恥ずかしくてたまりません。
蕪村の幻想美を良しとしますが、辞世ですからねぇ。
この世の終わりに照れても仕方ないんでしょうねぇ。
それよりは正直に言いたいことを言うということでしょうか。
そういえば昔江戸っ子が、「いっぺん蕎麦にたっぷりつゆをつけて食いたかった」と言い残して死んだとかいう話がありますね。
でもそんな話を真に受けるほうが野暮と言うもの。
江戸っ子がそばに少ししかつゆをつけないことが全国で笑われていると知ったうえでの自虐ネタですね。
喧嘩の最中怒鳴り散らしながらでも、死の直前でもユーモアを忘れない都会人的な照れでしょうねぇ。
江戸のそばつゆは極めて塩っ辛いので、たっぷりつけたら食えませんから。
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