文学 S
川端康成という作家はきわめて多作で、文学史に名を残した純文学作品のみならず、多くの娯楽作品を書いています。 その中で私が非常に興味深く読んだのは、昭和10年代初頭の女学校を舞台にした「乙女の港」という作品です。 これは当時女学生に非常に人気があった少女向け雑誌「少女の友」に連載されたもので、中原淳一の挿絵など、ややバタ臭い顔の女学生が描かれ、今見ても極めて美的な絵画群です。 こんな感じです。 当時、「少女の友」は投稿欄が充実しており、さらにはペンフレンド募集の欄があり、多くの少女たちが投稿したり、ペンフレンドを求めたりしていたようです。 今でいえば、フェイスブックやミクシィなどのSNSに当たるんでしょうか。 ただ、当時「少女の友」は退廃的とされ、これを愛読するのは良家の子女としては良からぬ仕業とされていたのも事実のようです。 しかし当然、その当時女学校に通える少女はごく一部のお金持ちに限られており、暇と金を持て余した良家の子女が退廃的な文化に憧れるのは当然というべきでしょう。 「乙女の港」に登場する少女たちも、みな夏は軽井沢の別荘に出かけるようなお嬢様たちです。 しかし、時代の空気には...