文学 秋の夜の酒
今週は月曜日が秋分の日でお休みだったせいか、短く感じました。 それでも、金曜日の夜飲む酒はひときわ旨いですねぇ。 秋から冬にかけて、酒の味が一段上がるように感じるのは不思議なことです。 そうであってみれば、ロシアなどの寒い国でアルコール摂取量が多く、インドや東南アジアなどでは低いというのもうなづけます。 憂あり 新酒の酔に 託すべく ある時は 新酒に酔て 悔多き いずれも夏目漱石の句です。 新酒とは、秋に新しい酒が出来たことから、秋の季語とされています。 今で言えばボジョレー・ヌーボーみたいな感じでしょうか。 夏目漱石と言う人、よほど愁いを帯びていたらしく、句をよくしましたが、明るい句とてありません。漱石俳句集 (岩波文庫)坪内 稔典岩波書店 一方、難解で幻想的な長編小説を多く残した小説家、石川淳も句を残しています。 鳴る音に まず心澄む 新酒かな こちらは憂愁の気配は感じられず、純粋に新酒を楽しもうと言うウキウキ感が感じられて、微笑ましく思います。 石川淳の小説には感じられない、素直さですね。 案外常識的な人だったのかもしれません。 わが国の多くの小説家や文芸評論家は、石川淳を正当に...